#11 銀行強盗の制圧術
「ソラぁぁぁぁあ、援護ぉぉぉぉお」
ネイジーの声が聞こえた。
その刹那、パチンっ‼という音が響いた。
指パッチンか?
そう考える暇もなく、俺の横の強盗が吹き飛び、壁にぶつかる(痛そう…)。
「殺傷能力はないけど、ぶっ飛ばすくらいはできるよ。ソラ、やっちゃって!」
ネイジーの方を向く。
頬のあたりには雷のような紋章が、そして周りには光の球が4つ浮遊している。
何故か能力を使えるネイジーは、「光球を生成し放つ」事ができる。
たしかに、殺傷能力はない。が物体に当たったとき、衝撃波を発生して吹き飛ばすことができる。
……てことは、俺たちが優位に戦闘できるのはここじゃないな。
俺は前に立ちふさがる男を体当たりで無理やりぶっ飛ばし、銀行の少し奥へと走る。
よし、オッケーだ。
ネイジーが光球を発射する。
何度もいうが、光球に殺傷能力はない。
あくまで吹き飛ばすだけだ。だが…
「うらぁっ‼」
吹っ飛んで、空中に舞っている相手を蹴飛ばす。
光球の餌食になって吹っ飛んできた勢いを利用し、確実に仕留めていくのだ。
これはかなりうまく行った。
相手が光球に当たりさえすれば、俺の脚力で走り込むだけでどうにかなる。
そもそも能力自体を見るのが珍しい(というより、人生で目にすることが1回有ればいいほうだろう)ため、強盗たちが固まっていた。
そのアホ面を見てみたいとこだけど、俺は後ろにいるから見えない。ちっ。
おかげでネイジーのいい的だ。
結果、男たちをものの数分で制圧できた。
人質たちは全員解放できた。
「あとこっちに残ってるやつはいないよな?」俺はラックに通信を取る。
「いない。金庫側に行って!」
「了解!」「はーい」俺とネイジーが返事をし、俺達は足早に金庫へと向かっていく…
その頃ラックはというと…
「おかしい…銀行員がいない?」
ドローンで索敵している僕・ラックは、金庫室の前に3人いることを確認した。
幸いこちらは見つかってない。
しかし、どうやって金庫室を開けるつもりだ?
「よし、準備完了」
あれ…ダイナマイトじゃね?
…まさか!最初から破壊するつもりで!?
「ソラ!ネイジー!急げぇぇぇぇぇぇえ!!!」
僕はすぐさま、二人に通信を飛ばした。
「はっ!?破壊!?」
「そんな…!ソラ、急ごう!」
俺とネイジーは、とにかく金庫室へダッシュした!!!
金庫室の扉は破壊されている。
中に二人!
パチンっ!
ネイジーが指を鳴らし、最大サイズの光球を放つ。
その光球を食らった男たちは変な声を上げ、金庫室の壁にぶっ飛ばされる。
気絶しているようだ。
「二人やったぞ!」ラックに通信を飛ばす。
「二人!?さっき一人いたよ!?」
は?マジ?
「逃げられた!?」俺は急いで金庫室の周囲を確認する。
しかし、逃げれるような場所はどこにもない。
「ソラ!上!」ネイジーが天井を指さす。
そこだけ微妙にひびが入っている。穴も開いている。
ラックが上空を偵察する。
そしてラックが見つけた。
「いたぞ!最後の一人は上にいる!」
「ネイジー、あのひびの部分ぶっ飛ばせる?」
「お安い御用~」ネイジーが指を鳴らし、最大サイズの光球をぶつける。
ひびが完全に割れた。
外につながっている!
できたスキマをつかみ、這い上がると…
男がいる!
「いた!待ちやがれ!!!」
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