#10 銀行強盗、ハードル高いよ

事務所までラックに引っ張られ、無理やり部屋にぶち込まれる。

「ちょっとまってて」とラックが言い残すと、部屋の奥へと向かっていく…

戻ってきたラックの手には、サングラスっぽいやつとネックリングが握られていた。

「じゃ、これつけて!」ラックがそれを手渡す。

「なんだこれ?」ちょっとへんてこな装置だな。

「そのメガネはね…僕らの視界を共有できるんだ」

「どゆこと?」ネイジーはもう少し説明がほしいようだ。

「えっとね?ソラに見えてるものが、ネイジーや僕にも見えるようになるってこと」

「はい、理解したよぅ」

「で、こっちのネックリングの方は?」

「そっちは位置を共有できるんだよ」

「どうせならメガネで両方やればよかったのに」ネイジーがボソッとつぶやく。

「うっさいうっさい。とにかく、二人はあっちで銀行強盗を制圧してもらうからな」

ラックは切れ気味にそう答える。いや、聞こえてたんかい。

「作戦とかはあるのか?」俺はそこが疑問だった。

「大丈夫だ。安心しろ、もう構想はできてる」

ラックは俺たちに、その作戦とやらを伝えてくれた。

その後、俺はラックから謎の四角い箱みたいなものを手渡されるのだった。


そして、俺とネイジーが銀行付近につく。

「ソラ、そのキューブを銀行にぶん投げて」

俺は言われた通り、四角い箱っぽいものを投げる。

それは見る見るうちにドローンになり、銀行の方へと飛んでいく。

このドローンはラックお手製のもので、事務所から操作することができる。

さすがラック。すげぇもん作るな。

ラックは銀行内をドローンで飛び回る。

ドローンはかなり小さいため、偵察はばれないはずだ。

そして、メガネに地図が表示される。

俺たちは再度、作戦の内容を聞いた。


俺はネイジーへとうなずく。


「さて、俺らも突入の準備をしますかね」




そのころ、銀行では…


「よし、今回も稼げそうだな」

黒ずくめの男が、銀行の客を人質に取っていた。

ある一人の男は、金の回収係として金庫へと向かっていた。

残っている男たちが、客に向かって銃を向ける。

客は悲鳴をこらえ、銃から顔をそむけている。



パリンッ!!!



窓ガラスが割れる音。

男と人質の中に緊張が走る。

「なんだ!?サツか!?」

一人の男が叫んだその時。

なにかが男たちの方に投げられた。

爆発が起こる。

だが火花は出ない。

煙が立ち込める。


「よし、ここまでは作戦通り…」

視界が奪われる中、男たちの背後から近づく影があった。

そう、俺だ。


ラックの作戦はこうだ。

ネイジーが窓ガラスをばれないように破壊する。

ドローンがその隙間から入っていく。

そしてドローンに持たせた発煙手榴弾をなげこみ、視界を奪う。

強盗たちがパニックになっているところを、二人で捕まえる。


「おらぁっ!!!」俺は強盗一人の首元にけりを入れる。

強盗が吹き飛ぶ。

ボキッという音がした。

あっこれ首の骨折れたな。まぁいいか。

そしてその勢いで、後ろの男が構えている銃を蹴落とす。

男は「あっ」という表情で銃を拾おうとするが、すでに遅い。

男がかがんだ瞬間、あごの部分につま先蹴りを入れる。

彼はなんとも表現しがたいうめき声をあげて倒れた。気持ち悪っ。


あっちには煙幕が届いてねぇ!


少し向こうを見ると、そこには多くの人質とハンドガンを持った男がこっちを見ている。

俺はそっちに走りこむが、危うく銃弾を食らいそうになり床に転がる。

あぶねぇ。服にちょっとかすったじゃねぇか。

男たちの放つ弾丸をギリギリでよけつつ、相手を何度も殴り、蹴って制圧しようとする。

でも、客が多くて殴る蹴るが制限されんだよ!

あやうく客にあたりそうになるし、客が盾になって邪魔だし!

クッソ、どうにか客から男を引き離さねぇと!

俺はさらに放たれた銃弾をよける。よけながら考える。

頬を銃弾がかすめる。

やべ、これもたついてたら死ぬ。



そんなことを考えていた時、窓ガラスがもう一枚割れた音がした。

その音に続き…


「ソラぁぁ、援護ぉぉぉぉお」

ネイジーの声が聞こえた。


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