#8.5 絶対に三人で
俺達の答え…出した結論は…
「自営業だ。これだよな、ラック」俺はそう言ってラックに目を向ける。
「大正解」ラックがニヤリとした。
「へ…?」いまいち理解できてないのはネイジーだけ。
っつうことで…
「よし、じゃ今日は解散!」説明が面倒になったんで帰ろうとした矢先…
「ちょちょ待て待て待て待て待て待て」
ラックとネイジーに腕を掴まれた。
「え?なんでよ」
「ネイジーが明らかに困惑しているから。説明を求む」
「説明して!せ、つ、め、い!」
「へいへい…」
俺は少し頭を掻いた。
「簡単な話。エージェントと同じような仕事を扱う事務所をつくる」俺は話噛み砕いて内容をボロボロにして言った。
あっいや、内容ボロボロにしたら話すことがなくなるか。
そこにラックが口を挟む。
「ソラの話だと内容が薄いから付け足す。ネイジーの理解力は高くないから」
「え?なにそれディスってんの?」ネイジーが、ラックに不満げな目を向ける。
あっ、内容薄いって…俺もディスられてる感じだわ。やいコラてめぇ。
「具体的にはエージェントと同じように犯罪者を捕まえたりする。が、あっちから出動するエージェントと違ってこっちは依頼制でやる。だから私事も依頼することが可能な感じだ」
「ほう」俺が相槌を打つ。ネイジーは黙って聞いていた。
「それで実績を積んでいくんだ」
しかし、そこでネイジーが口を挟む。
「待って。理解はしたよ?でも、それだと本来のエージェントにはなれないんじゃない?」
「そこでだ」今度は俺が口を挟む。
「エージェントへの試験を受ける方法は2つあるんだ。1つは俺らが受けた一般受験。もう一つは…
少しだけ息を吸う。
「監査推薦」
「かんさ…なにそれ」
「聞いて驚け。監査推薦ってのはな…」
二人が真剣な眼差しで俺を見つめる。
「俺もわからん!!!」堂々と言い放つ。そしてドヤる。
バッチリ空気が凍った。うん。
「わ、わからんのかい」珍しくネイジーのノリツッコミ。助かる。
ちょっとキョドってる感じがいいね。……って何言ってんだ俺。
「はぁ……」ラックのため息。そして視線。その視線やめて。憐れむように人を見ないで。
「監査推薦ってのは」呆れてか、ラックが俺の代わりに解説を始めた。
「民間の警備組織や警察とかから、優れた人間をエージェントに引き入れるんだ。ヘッドハンティングってやつ」
「まぁ、相当実績挙げなきゃだろうな…」先が思いやられるぜ。
「私のためにそんなこと…しなくていいのに」ネイジーの顔が曇る。
「いやいや、別に全てネイジーのためってわけじゃないぜ?」
俺は空を見上げる。
「だからネイジーには…ラックも俺もだけど、絶対に約束果たしてもらうからな?」
「約束?」二人が顔を見合わせる。
「忘れたとは言わせねぇよ?」俺は二人の方を向いた。
俺達をここまで連れてきた、あの約束。
高校2年生の、あの日の約束。
「絶対に ''三人で'' エージェントになるっていう約束、守ってもらうからな」
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