エージェント編
#6 エージェント採用試験
試験会場の目の前。
あの約束の日から、かなりの月日が流れている。
大体……7年くらい経ったのかな。
俺はもうとっくに成人し、大学も出た。そして今日、4年に1度しか受けられないエージェントの試験を受けられるようになった。
みんなは、あの日の約束、覚えているだろうか?
わからない。もしかしたら、本気にしてたのは俺だけかもしれない。
でも俺は、ずっと前から決めてたんだ。絶対エージェントになるって。
ま、生まれた瞬間…とか言ったら笑われるけどね。
「おっ、ソラじゃん。久しぶり」
どこか落ち着いた雰囲気のある声。
「ラック!久しぶり!」
久しぶりの再会に、俺は飛び跳ねんばかりにラックに声をかける。
「はしゃぐな」
「しょうがないじゃん!寂しかったんだから!」
「抱きつくとかいう醜態を見せないだけましか」
「あっ、その手があった」
「ねぇよ」
「まぁ冗談だっての」
「ソラの冗談は基本冗談じゃねぇから」
「ひどくね?」
「おー、お二人さんは変わってないね」
コントみたいになっている俺たちのほうへ、やわらかい声が聞こえてきた。
見るとそこにはネイジーが立っていた。
「久しぶり、二人共」
「ネイジーじゃん!忘れてるかと思った!」これで3人、全員揃った。
「私が忘れるのは高校の週末に出る宿題くらいだよ」
「よくそれで留年にならなかったな…」しっかりラックのツッコミが決まる。
「単位はちゃんととってるよ」
「ならいいじゃん」
「よくねぇよソラ、態度の問題で」
「まぁまぁ二人共、やめなって」
「元凶が何を言う」俺、ラック二人同時に叫ぶ。
「うるさいよ二人共…」
「元凶に言われたくないけど返す言葉もない」ラックが落ち着いて言う。
「納得するな」
「遅れちゃうよ」
その一言でふと我に返る。
「それはまずい」
「ほら、行こう?」
ネイジーはさっそく試験会場へ入っていく…
「…」
俺とラックは笑みを交わし、試験会場へと入っていくのだった。
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