#3 二人の時間

「な…なぁネイジー?」俺の声は、ちょっとぎこちない感じになってしまっている。

「っ」ネイジーの体が一瞬ビクッとした。

「どうしたんだよ…今日は…」

「あっ…!私、やることあって…」ネイジーが立ち上がり、俺から逃げようとする。

「待てって」逃がさない。あんまりこういうことはやりたくないけど、俺はネイジーの腕をつかんだ。

「ちょっ…離して…」

「嫌だね。ネイジーが本当のことを話すまでは」

「ぅうっ…」ネイジーが固まる。

俺はその姿をじっと見つめていた。

「もし…」ネイジーが口を開く。

「もし?」遠目で見ていたラックが会話に入ってきた。

「もし…本当に知りたいなら…」

そこでネイジーが息を吸う。

「放課後…屋上でね」

それだけ言うと、ネイジーは再びすわった。

その後もいろいろ質問をしてみたが、どんなに話しかけても彼女が答えることはなかった。

「放課後、屋上に来いってことか…」授業中も、休み時間も、そのことで頭がいっぱいだった。

昼休みが始まっており、待ってくれているラック以外のみんなはすでに食堂や校庭に行ってしまった。

「早く放課後になってくれねぇかな」俺は、ラック以外に誰もいなくなった教室で思いを巡らせる。

「それにしても、屋上ってか。そこまで聞かれたくない秘密なのかな」

「だろーな。あそこまで頑ななネイジーは久しぶりかもしれねぇ」

そうして、久しぶりにラックと二人だけの時間を過ごすのだった。

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