#3 二人の時間
「な…なぁネイジー?」俺の声は、ちょっとぎこちない感じになってしまっている。
「っ」ネイジーの体が一瞬ビクッとした。
「どうしたんだよ…今日は…」
「あっ…!私、やることあって…」ネイジーが立ち上がり、俺から逃げようとする。
「待てって」逃がさない。あんまりこういうことはやりたくないけど、俺はネイジーの腕をつかんだ。
「ちょっ…離して…」
「嫌だね。ネイジーが本当のことを話すまでは」
「ぅうっ…」ネイジーが固まる。
俺はその姿をじっと見つめていた。
「もし…」ネイジーが口を開く。
「もし?」遠目で見ていたラックが会話に入ってきた。
「もし…本当に知りたいなら…」
そこでネイジーが息を吸う。
「放課後…屋上でね」
それだけ言うと、ネイジーは再びすわった。
その後もいろいろ質問をしてみたが、どんなに話しかけても彼女が答えることはなかった。
「放課後、屋上に来いってことか…」授業中も、休み時間も、そのことで頭がいっぱいだった。
昼休みが始まっており、待ってくれているラック以外のみんなはすでに食堂や校庭に行ってしまった。
「早く放課後になってくれねぇかな」俺は、ラック以外に誰もいなくなった教室で思いを巡らせる。
「それにしても、屋上ってか。そこまで聞かれたくない秘密なのかな」
「だろーな。あそこまで頑ななネイジーは久しぶりかもしれねぇ」
そうして、久しぶりにラックと二人だけの時間を過ごすのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます