#2 友達に何かが起こった

「ちなみにネイジーは?進路のことについて何も言わないじゃん」

いつもこういうときなら最初に喋るのがネイジーである。

なので、未だ口を開かない現状に違和感があった。

「私は…まだそういうことは考えてないかなぁ…」

0.5秒くらいの間があった。

いつもならはっきりものをいうタイプのネイジーだ。

何かあったんだろうか?

「ネイジー、なんかおかしくねーか?」

「そうだな…僕の知るネイジーはこんなに元気のない人じゃない」

ラックも同意してくれた。

「…っ」

ネイジーは何かを言いかけたが、その言葉を飲み込んだ。

「もうすぐチャイムなるから、私戻るね!じゃっ」

ネイジーは元気を取り戻したように宣言し、自分の席へと踵を返す。

驚きで数秒硬直した後、正気に戻る。

「おい、ちょ待てって…」

立ち上がろうとした俺は、チャイムに動きを止められるのだった。

一時間目。進路の授業。

だが、俺は全く集中できなかった。

どうしてもネイジーの挙動が引っかかる。

「ソラ?おいソラ?」

「…んっ」ラックが呼んだみたいだ。

ラックの席は俺の前だ。

「やっぱり、ネイジーの対応が引っ掛かる?」コソコソ声で話す。

「ああ…まぁ…な」俺の頭にあるのはそれだけだった。

どうしても気になる。進路のことについてしゃべらない理由が。

休み時間。いつも俺の席に来るネイジーだったが、今日は来なかった。

「俺から話しかけに行こうかな」

「僕もそのほうがいいと思う」

席を立ちあがり、椅子をしまう。

ネイジーの席は廊下寄りの再前方。

いつもだったら特に遠慮もなく行くが…

今日はなぜか足取りが重かった。

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