第2話
わたくしが田舎から王宮へ嫁いできてどれほど苦労したか。地元ではご令嬢と言われちやほやされていても、たかだか地方豪族の娘、都の貴族の値踏みは厳しかった。でも誰が何を言おうとわたくしは王の妃。王は美貌と言われるわたくしに夢中で、わたくしが他人に粗末に扱われるのをお喜びにならない。隠れて陰謀を巡らせるお上品な方々には直々に手をくだして手酷い目に遭っていただくのが王への忠義を果たすことにもなるでしょう。田舎者には田舎者の流儀がありますので。やられっぱなしで黙ってるほど育ちが良くないのよ。残念でございました。王に言いつけるだけが能ではないし、いろんな手を使って頭の悪いご挨拶へのご返礼を申し上げるのが、わたくしなりの正義ですから。
あの坊やとの関係を理由にわたくしを陥れるなんてこと、お考えになった偉い方もいらしたけど、大失敗でしたわね。別にわたくしは自分の息子を、先妻の息子を押し退けてまで取り立てて欲しいなんて思ってないのに、疑心暗鬼になって、黙ってることができなかったあの方が悪かったんですわ。先制攻撃したつもりが、ご自分も毒を飲んでしまうなんて、あれは本当にご不幸な事故でした。でも、わたくしにとっても、義理の息子と実の兄を同時になくしたとても不幸な事件でした。実際の経緯は多分、兄の愛妾が引き起こした痴情の縺れとかいうあれでしょうね。
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