17 報告
エリィ、シシィ、ミリエラさんと共に、隊長に報告の為に詰所へと戻った。
――彼氏が攫われたと知って立てなくなるほど衰弱した女性を、励ましながら自宅まで送り返した。
女性には必ず見つけると言ってしまった。だから必ず行方不明の彼氏を見つけ出し、彼女の元へと帰さないといけない。
「隊長、ただいま戻りました」
「あぁ、おかえり~、って姫様! ミリエラさんも! なんでこのお二人が!?」
「あぁ……捜索に協力してもらいまして……」
「そ、そんな~、姫様にそんなご苦労を掛けるなんて~……」
「いや、いい。私がやるって言ったんだ! だから問題ない。それにおかげで成果があった。この私に感謝しろよ!」
シシィが腰に腕を付けながら、ふふんとどこか誇らしげに答える。
……なぜに誇らしげ? それに成果って、それはミリエラさんが出したようなものじゃあ……。
「ならいっか~、とりあえず姫様もミリエラさんもありがとうね~」
軽っ! 一国の姫に対する御礼が軽すぎない! さすが隊長! ゆるふわというか、剛胆というか……。
「それで成果って、何か見つけたの?」
「は、はい……」
俺は魔素について隊長に報告した。
「ふ~ん。魔素ね~。それじゃあ、魔法の行使によって被害者は攫われたってことでいいのかな~?」
「まぁ、これはどんな魔法を使ったのかは調べてもらわないとわからないですね」
「なら城の術者を派遣してもらって調査してもらおう~」
「そういうと思って、いち早く連絡させてもらいました」
そう言うミリエラさん。さすが抜け目ない。
「よかった~。これなら明日何か進展があるのかもしれないね~」
「そうだといいんですが……」
まぁ、調べてもらえるからと言って、すぐには解決とまではいかないのだろう……。
ここは根気よく行かないとな……。
「いえ、進展どころか、もしかしたら解決するかもしれませんね」
「え?」
そんな事を言ってのけるミリエラさん。
みんなミリエラさんに注目している。
「それは、どういう意味で……?」
するとミリエラさんがじっと俺の顔を見る。
「え、えっと……あー……何か……?」
え? なに? こんな美人に見つめられて、なんか照れるんだけど……。
いや、俺にはシシィがいるんだ! こんなことで照れては……!
ほら! なんかシシィがひと際不満げな顔を浮かべているし!
ギュッ!
「痛っ!」
え!? なんかエリィも怖い顔で睨みながら、俺の脇腹つねってくるんだけど!?
「ふふふ、まぁ、これは後でのお楽しみですね」
そう謎に意味深な笑みを浮かべるミリエラさん。
え? 本当に意味が分からない……?
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