第15話

「「追手は上手く撒けたみたいだな」」


『ふふっ』


「「?何が面白いんだ?」」


こいつが笑っているのを初めて見た気がする。凹凸も何も無い顔の頬が少し歪んだ。


『自身の後頭部を見てみなさいな』


そう言われ、後頭部に手をおくと、木の矢が半分近く深々と刺さっていた。


「「うおっ!」」


『ふふっ、頭に矢を刺してもなんの反応も示さず、ただ一目散に逃げていくロロの姿!それを呆然と見ることしか出来ない騎士たち!なんて無様な絵面だったのかしら!』


ああ、それはさぞシュールな光景だったのだろう。攻撃されたことにも気づかない間抜けと、その攻撃を一切意に介されないものたちと言うのは。


「「性格悪いな」」


『今更気づいたのかしら?私は魔女なのよ?』


「「なるほど、道理で」」


魔女だから性格が悪いのか、性格が悪いから魔女なのか。きっとマリーは後者だろう。なぜなら彼女はずっと嘘をついているのだから。


「「そろそろ腹割って話そうぜ」」


『いいわよ。別に隠す必要なさそうだしね』








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る