第13話
確かにもう引退したと言っていたし、年老いていたとしても不思議では無い。顔のパーツがないせいで分かりずらいが、マリーは高くても30程だろうと思っていたし、そう幼い頃からやらかした訳では無いだろうと思っていた。だから三聖の1人もせいぜい60歳ぐらいだと考えていた。しかし、どう見ても目の前の老婆は80は超え、90歳にもなろうかという見た目だ。
「「なあ、この死にかけの老婆が三聖のうちの1人である今回の標的なのか?」」
『そうよ、もはや天寿をまっとうしようとしているこのババアよ』
「「じゃあ、お前一体いくつなんだよ」」
そんなことを言った時、老婆が目を覚ましたようで身動きをするが起き上がる気配は無い
『あら、メルティーナ起きたかしら』
「どちら様ですか?」
寝ぼけ眼で、灯りのない暗闇の中だ。分かるはずもない。
『あら、痴呆が酷いわね。私のことも忘れてしまうだなんて。この顔に見覚えはないかしら?』
「「そのつらみても恐怖しか湧かねえだろ」」
老婆は驚いた顔をして、叫ぶ
「誰じゃ貴様ら!異形が手を組んで何が目的じゃ!」
『その様子じゃ、本当に覚えてないようね。最後の言葉くらい聞いてあげようと思ったのだけれど』
「「んじゃ、もういいだろ」」
そう言って俺は老婆の元へ歩き出し、己の右目の位置にある口に両手を突っ込み、無理やり大きく開く。スライムを食ったおかげか無理をしている感じは全くない。老婆は呆然とした顔でこちらを見るだけだ。
「だ、誰か助け」
「「いただきます」」
彼女の助けを呼ぶ声は誰にも届かない。
俺は老婆の頭を丸呑みにした。髪も薄く、骨もすかすかで食べやすく、その脳は老いているとは思えないほどみずみずしくクリーミーな味わいだ。
『一応全身食っておきなさい』
「わかってるよ」
空いている左口で返事をする
そこからは右手、左手、右足、左足とちぎっては口にねじ込む。胴体はあばら骨を解体して食べていき、内蔵を食った後背骨を喰らう。あとにはおびただしい血が布団に滲んでいるだけだ。
「「ふう、ごちそうさまでした」」
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