第6話

「「ハア、酷い目にあった。」」


三日三晩腹を壊しうなされて、叫び続けて、やっと治った。腹の中で何かが暴れているのかと思うほど腹がギュルギュルと唸り、吐くものもないのに吐き続け、四六時中激痛が僕を襲った。ただ、全く死ぬ気がしなかったのは異形ゆえかなんなのか。


ひとまず成長しているか確かめたいのだが、ここ数日の激痛で万全とは言い難いしもはや前の感覚が分からなくなっている。骨折り損のくたびれ儲けだ。


『あなた、言葉は分かるかしら?』


そんな言葉がどこからか聞こえてくる。だが、周囲は自然が広がるばかりで人影は無い。


『違うわよ、上よ、上』


どうもこの声は頭の中に直接届いているようだ。テレパシーじゃん。すごー。言われた通りに上を見あげると毒々しい色のドレスにとんがり帽子、そして顔のパーツが一切ないのっぺらぼうの女が箒に乗って浮いていた。


「「魔女?」」

『ええ、そうよ。魔女。無貌の魔女。君みたいなのにとても興味があるの。黙って着いてきてくれるかしら?』


どう考えてもヤバいやつである。顔がなく、宙を浮くなど凄い力を持っている。十中八九同類であるのだが、だからといって仲間意識とかあるわけが無い。何せ邪神の落とし子だ。どう考えたってついて行くのは悪手だが...


「「拒否権ってある?」」

『有る訳ないでしょう』


ですよねー


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る