第2話

目が覚めた。


「「知らない天井、、、どころじゃないな」」


1度言ってみたかったセリフではあるのだか仕方がない。視界の全てを覆う深い緑と茶色。なるほど僕は鬱蒼とした森の中で倒れているようだ。土は湿っていて木々の隙間からは光の一切が差し込んでいない、なんとも不気味な場所に転生させられたようだ。

ひとまず起き上がり周りを見渡すが木に囲まれて遠くは一切見えない。うっすらと霧がかかっている気もする。

そんなことよりももっと重要なことがある。僕が裸である事だ。上半身から下半身まで局部すら一切隠れていないのだ!しかも嫌なことに気がついた。頭もツルッツルである。将来は禿げるのかななんて思っていたけど、スタート地点でハゲてるのはいくらなんでも酷すぎないでしょうか?こんなんじゃチート無双しても誰も靡いてくれないよ!?ハーレムなんて夢物語だけど?!


「「はあ、そんなん言ってても仕方ないし、とりあえず山小屋とか道とかを探そうかな。」」


あてもなく森を歩きながら考える。裸で転移はない話では無い、自分の知っている限りではすぐに襲われている馬車なんか見つけて、それを助けて、変態だと思われつつも服を貰う。そんな感じだろう。果たしてこれにハゲ要素が加わることでどのような悪影響が出るのか?いや、その前に自分の顔を確認しなければならない。

もしかしたらスキンヘッドの似合う厳つい感じのナイスガイの可能性がある!そうと決まれば水場なんかを探したいのだが、、、


「キャー!」


襲われているだろう女の子の声!王道展開キタコレと思いつつ声のした方に走るとお嬢様っぽい子と数人の騎士、そしてそれを囲むthe山賊!ってな格好をした男たち

助けに行こうと姿を現すと、その場の全員がこちらを向いた。その瞬間、


「ひぃっ、化け物だ!!」

「ずらかるぞっ!」


そう言って山賊共は逃げていき、騎士たちが


「お嬢様!早くお逃げを!」

「我々が足止めします!」


そう言ってこちらに剣を向けてくる。

ええ?そんなに?そんなに酷い顔なのか?まじで一生DTなのか?なんてショックを受けて棒立ちしていると、女の子を乗せた馬車は走り去っていき、騎士たちは僕に対し扇を描くように囲もうとしている。何か言わなければまずい、そう思い口を開く。


「「待て、僕は敵じゃない。酷い格好をしていると思うが君たちを助けようとしたんだ!」」

「人の言葉を喋るのか、この異形が!」

「まだ生まれたばかりだと言うのに高い知能を持っているのか、邪神の落とし子め」


異形?邪神?なんのことだ?そんなふうに混乱していると騎士のひとりが斬りかかってきた。

左腕を斬られる。痛い痛い痛い痛い!!


「「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」」


なんで?どうして?そんなことを考える暇もなくほかの騎士たちも襲いかかってくる。

死に物狂いで避け、わけも分からず逃走する。

森の中を走り続け、落ち着いてきた頃には追っ手はおらず、小さな泉と小屋があった。




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