第4話 本物

「ああ、ごめんね面白い名前だったから馬鹿にしてしまったよw」

「てめえ、ちょっと頭が良くて顔がいいからって調子乗ってんじゃねえぞ。」

「ちょっと瑠、喧嘩は辞めなよ」

俺は二人の喧嘩を止めようとした。

「なんで?」

瑠は純粋な感じで聞いてきた。

「え?なんでといわれても」

「だってあのモニターが言ってたじゃん。生き残った一組のみがここから抜け出せるって。じゃあ殺し合いをするのも当然なんじゃないの?」

”ガーガーピーピー”

またか...

”正解だ、さすがだ瑠。このクラスでは殺し合いが合法化されている。だから生き残るには殺すしかない。”

”殺せ!生き残るために”

”指をくわえていても何も変わらない!”

え…マジか…人権とかなくなったのか

”そうだ、人権などここにはない”

 

「じゃあやろうよ、マッスルさんw」

「てめえぶっ殺すぞ。調子乗りパリピ男が」

 売り言葉に買い言葉でお互いが挑発する。でも煽り性能だったら瑠のほうが高い。


「ちょ、マッスルくん負けたらどうするの?私戦えないよ!」

「ここで倒せばいいだけだろ。こいつは頭もいいし戦いは避けられない相手だ。」

「瑠、お前本当に戦うのか?あいつすごい強そうだぞ?」

「いや、ここで倒しておいたほうが楽だ。多分あいつは一番強い。体力が残っている段階で行くのが吉だ」

「そうじゃなくて勝てるのか?」

「なんで俺が勝てないと思うんだ?」


「じゃあ、やりますかマッスルくん」

「おう、パリピ男」


の掛け声とともに瑠が気弾を細かく刻んで散弾銃のようにしてマッスルのほうに突っ込んだ。

瑠も割と体格はいいし蹴りが当たればかなりのダメージのはず。

「どう?俺の攻撃をよければ気弾に当たるし気弾をよければ俺の攻撃に当たるよ?」

「それだとお前も攻撃を食らうんじゃないか?」

「そうだね。それは誰もが最初に懸念することだ」

瑠の周りにはたくさんの気弾が浮いている。何がしたいんだこいつは...


「成程、そういうことか」

「へえ、お前も気づいたか」

「俺の負けだ」

その一言と共にマッスルが消えた。いや。正確には音々の近くにいた。

「え?ちょ?何が起こったのマッスル」

「あのまま攻撃を食らっていたら俺は死んでいた。だから逃げただけだ」

「...まあ生きることが一番大事だからしょうがないけど...」


「...瑠、なんでお前あの時気弾を浮かせていたんだ?」

「うーんそうだなあ。あのままだったら俺が気弾を食らっていたから?」

「それはどういうことだ?」

「だって俺はマッスルの方向に気弾を打って俺も突っ込んだんだから俺も気弾を食らうことになるでしょ」

「だから気弾を浮かせて相殺しようとしてたってわけ」

「へー、お前やっぱり本物の天才だな」

「ありがと」


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