ガイド関八州 土の城キャンパー巡り

72.今度の旅はキャンピングカーで?

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


******


「司ン~」

「ミキそれやめて」

「え~美人4姉妹そう言ってたジャン?」

「ぬう、解せぬ!」


「年末どっか行かない?」

「行こう行こう、コタツの中に」

「日本の童謡の猫かー司ン」

「だって寒いじゃんー」


 クリスマスも前に、学内のサークルは納会やらクリパやらではしゃいでる。

 学園祭でもないのに、何だかあの雰囲気が帰ってきたみたいな浮かれ様だ。

 浮かれたミキがじゃれる。


「司ン~どっか行かない?」

 今度はスーか。ランもだ。

「お前らもか!」

「世紀末覇者と過ごす年末年始ツアー、イイネ!」

 誰だよそれ。


「あんた達はカレシでも見つけてアチアチクリスマスでもしてなさい!」

「その言葉鏡を翳して反射してやるわ」

「チクショー!みんな揃って淋しいなー!」


「年末年始、数日だけでちょっと小旅行、いいジャンヨー?」

「ニホンの正月はホテル高いゾ」

「ダカラキャンピングカー借りてアチコチ廻るとかー」

「オー!ルート66じゃなくてルート16?イーネー!」

「何それ…いいかも」

「おお、スーが珍しく笑顔だ」


「たった1週間の休みじゃタイに帰れないしネ」

「みんなクリスマスとか初詣デートとか…ないんだ。私もだけどさ」

 世の男達には見る目が無いんかい!


「時尾ン!イコーヨー!」

「イコーヨー!」

「行こうか?」


 この時、何かヘンな予感はしたんだよ。


******


『『イコーヨー!』』

 グラ玉の元気な声が携帯の字面から聞こえた…様な気がした。字だし。

『御正月に学園祭のお友達と関東の城巡りをするそうですね?

 出来れば私達と一緒にいかがでしょう?』

 お延さんが率先して食いついて来た!


『今まで散々豪華旅行に連れてってもらって、その上今度は友人迄連れてなんて出来ません!

 それに…みんなが時間を超えて来たなんてバレちゃうとさあ』

『時様いれば大丈夫だよー!お友達と一緒に行こーよー!』


『で何でその話知ってんの?』

『飴ズから年末行くってタレコミあったぞ』

『待ってお次さん飴ズって何?タレコミって?』


『ハーイ司ン!ワタシお次サンとフレンズデース!』

『待てやミキィィィー!』

『日本のハーレム、仲良しでイイネ!』

『お前もかラン!』

『冬キャン、いいよね』

『冬だぞ?!風邪ひくぞスー!』


 あ。よく見りゃ携帯のメールグループに追加されてたよ飴ズ、いつの間に!

 てか飴ズって何だよ。


『てか肝心の時サンどーすんのよ』

『司さんから頂いた酒瓶を拝みながらちびちび飲んでいますよ?

 何でもバスみたいなキャンピングカーをネットで眺めています』

『ドッゲエエエー!!』

『『『『イコーヨー!』』』』

『決まりだよ司ン』


******


「また行くんだねえ」

「今度はどんな武勇伝を造るのかしら」

「流石おねーちゃん!」

 両親無防備過ぎ、弟さす姉やめい。


******


 クリパ面倒だったな。

 普段私に声も掛けない男共が何かスゲー嫌な感じでまとわりついて来た。

 学祭の騒動の時ビビって碌に動けなかった癖に!


 女性陣が、特にお次さんが「飴ズ」って言ってたラン、スー、ミキを中心にブロックしてくれたけどね。

 教授も男共に厳しい指摘をビシビシ言って彼等の浮かれた雰囲気を粉砕してくれた。

 女性陣は盛り上がったけどね。

 時サンが教えてくれたスパークリングワインが大好評だったよ。


 で、

「時尾は何ていうか、歴史のifを上手く語れる才能があるなあ。

 年末の城巡りの所為かが楽しみだぞわっはっは」

とか教授がイヤンな事言いやがった。

 まあ、勉強してきますよ、年末年始。


 その後もルートは?とかどこ行く?とか運転は?とか相談してたら

『時様にお任せ~』とのお延さんの一文。

『またお世話になっちまったじゃねーかー!!ゴメンナサイー!!』

『いーよー、楽しみだよー、ですって』とお延さんの返信。


******


 そしてクリスマスも過ぎた日に我が家にクラクション…

「でか!」

 バスだ。

「これ、バスコンキャンパーか!うひゃー!」

 父が何だかお目目をキラキラさせて見上げてる。

 そこに下りてきたアヤシイ中年と美女軍団。


「どうも、亘時と申します」「延です」「次です」「玉でーす!」「ミナミハルオト申しマース!」

 両親、一瞬凍結。そして…爆笑

 これ時サンが仕込んだのか?グラちゃんがボケたか?


 父は何だか時サンと話したがってたが道を塞ぐのもなんなんで、早々に出発した。

「「娘を宜しくお願いします」」「俺も行きてーよー!」「「コラ!」」

 弟よ、この女子軍団にお前を放り込む訳にはいかん。早すぎる。


******


 中は、リビングだった…

 もう何だかキッチンもソファもテレビもあって、その奥にはトイレもお風呂もあって、これもう動くホテルじゃん?!すげー!


 一番奥がベッドルーム、そしてリビングもベッドになるんだ。

…微妙な感じがするのは気のせいか?

 流石に時サンもこの面子では自重するだろうよね?

「私は床下で寝るぞー!」心を読まれた?!

 しかし床下って…長距離バスの運転手か?疲れ取れないでしょ?


「「サビシーヨー!!」」

「二人は司さんと寝なさい」

「「イエー!!」」「あーはいはい」


 バスコン、バス改造のキャンピングカーはオッサン1名美女8名私を含むで関東城巡りに出発したのだった。


******


※という訳で関東編スタート。なおバスコンでも大抵は就寝定員4名、更に日本の道路事情では二階建てとか中々厳しいので9人が全員車内で寝るとなると結構無理があります。

 そこは御愛嬌。

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