65.ガイド大分城 お宿は別府温泉

※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。


******


 大分駅からバスで1キロ位で府内城へ。

 熊本城と岡城を立て続けに見ると随分小柄な、でもスッキリと綺麗な白壁の二層櫓と白壁が城地を囲っている。バスは華頭窓のオシャレな大手門前で止まった。


「ここ府内は鎌倉末期から豊後一帯を支配していた大友氏の館がありましたが島津家と豊臣家によって退けられ、17世紀頭に竹中氏によって今の姿に整備されました。その後幾度か代替わりを経て17世紀半ばに松平家が移封され、この地を治めました。


 城は北東を大分川に接し、そのすぐ北が別府湾でしたが今では大分川も別府湾も遠く離れています。

 本丸を中心に西、南、北に4重の堀を巡らせ城下町を囲う構造ですが現在は内堀と中堀のみが残り、四層の天守とともに保存されています。


 何か九州は大友氏とか龍造寺氏とかよく出て来るね」

「更に島津も出て来るぞ」

「戦国だったんだね、本州も九州も」

「農業生産力や開墾が進んで人口も増えると、戦いになる」

「イヤだな」ホントそう思う。


「なんかカワイイお城だねー」

「本当はもう二回り外側に堀があったけどね」

「おんなじ二層櫓が点々並んでて綺麗だしー」

 屋根のある渡り廊下の橋、廊下橋を渡って大手門へ。

 左手西の丸へ向かい、仕切門をUの字型に曲がって西の丸。

「あれ?二階櫓、内側は三階櫓になってるねー」

 お玉ちゃんの言う通り、隅の部分が一階になって入口がある。

 何故か石垣の上、二階…外から見たら一層の部分にも入口がある。謎だ。

「これは江戸時代後期に補強のために増築された部分だよ」

「もう時サンがガイドでよいのでは?」

「私だと客がウンザリしても話し続ける自信あるゾ」

「そんなガイド嫌だ」


 迎賓館にもなる西の丸御殿を左に見て北大櫓門へ。


 本丸に御殿が無く、目の前に四層の天守が高い天守台の上に聳える。

「これも層塔式だねー。破風もないし」

「最上階の華頭窓だけが装飾だね」

 でも、南に二層の付け櫓が続き、更に多門櫓が伸び、階段状に高くなる天守台は迫力あるなあ。


******


 天守から別府湾を望む。

 昨日は熊本、今日は大分。九州を見事に横断したなあ~。


「もうちょっとで九州ツアーも終わりかあ~」

「明日二か所、いや、四か所回ってもう一泊して、明後日終了だよ」

「また大変お世話になりました」

「いやいや、お家でただいま!を言うまでが旅だよ?」

「小学生の遠足みたいな事を…」

「大事な事です」「ハイハイ」

 ちょっと笑って、少し寂しくなった。


 再び西の丸へ、そして反対側の東の丸から本丸東側を眺め、更に大手から東の丸の外側を眺める。

 東の丸には三層でこれまた最上階に華頭窓がある小天守みたいな三層櫓がある。そして堀、その向こうには…かつて海があり、今はビル街がある。


******


 駅からは別府温泉協同の送迎バスが宿まで直行してくれる。国鉄と競合になるけどありがたいね。


「は~、九州の北半分を駆け抜けたぞー」

 宿に着くや否や、皆で温泉でビバノンノン。


「明日は太閤様のお社参りですよ」

「禿鼠は兎に角、秀次様や秀松様にはお参りしなきゃね」

「ハポンでは人がカミサマになる、不思議ですネー」


「何だろうなあ…ヨーロッパの聖人みたいなもん?」

「オー、ナルホド!」

「その辺、日本って適当だけど…何だか解るよ」

 珍しく玉ちゃんが難しい顔をしている。

「日本の場合は、偉い人には御利益があるかもって祈るのかな?」

「エウロパのサンタ(聖人)もゴリヤク頼みヨ?」

「あんまり変わんない物ね!」

「モンデアル(世界中)、金デアル」

 皆、裸で笑った。


「お、皆さま美人になられましたかな?」

「何それ」

「ここの温泉炭酸水素塩泉、アルカリ性なんでお肌の汚れを落としてツルツルにする、所謂美人の湯なんだけど」

「も一回入って来る!」

「司さんはもう美人さんですよ!ねえ時様」

「お延さんヤメテー!」


 今夜も牛「「うまうま!」」だから牛だって!「うまー」


 時サンの相棒は、「知恵美人」…

「杵築市のお酒がここで出てたんでね。今回杵築には行けないんで酒だけでも楽しめたらって…

 何皆変な顔してんの?」


「いーえ、ねえ司さん?」

「な、何変な笑いしてるんですかお延さん!」

「ねえ司ン?」「「ネー」」

「何かイヤー!」

 時サン私を狙ってる~?それとも意識し過ぎ~?


 その晩は玉ちゃんグラちゃんに隠れる様に埋もれる様に寝ましたとも。


******


※山内氏の本拠地…の近くだけど山内氏と関係ない府内城の最盛期の姿は下記サイトでCG復元されています。

https://8787pc.com/%E5%BA%9C%E5%86%85%E5%9F%8E.html


※日出の先、杵築市の中野酒造で明治初期以来創業者夫人の名を冠した「知恵美人」。酒造サイトは下記の通り。九州だけに焼酎も製造しています。

https://chiebijin.com/company.html

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る