43.ガイド名島城 名護屋城支援ルートも今は無く
※本作は空想の歴史を書いたものなので、史実や実在の自称・人物・史跡とは全く色々微妙に異なりますのでゴメンナサイ。
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福岡城跡西端の堀から、福岡湾に出る遊覧船がある。
「福岡湾遊覧…っていうより、名島城行って書いてあるな」
「往復30分、ちょっと行くか!」
思わぬ船旅。
大濠公園を横切り、市内の水路を通って福岡湾へ、そして多々良浜へ。
おお、外海に突き出した城が見える。
「福岡湾の北端、多々良川河口に建つ名島城は、16世紀末に豊臣家重臣の小早川家によって築かれました。
東側の三之丸から二之丸、西端の本丸と更に独立した天守曲輪と連なる堅固な城でした。
城の完成からわずか20年後に小早川家に替わって筑前に封じられた黒田長政によって本丸と天守曲輪は港湾の護りとして残され、二之丸以下は解体され福岡城に転用されました。
以後城代が置かれ、天守も灯台として船の往来を400年間見守っています」
「わー」「パチパチパチ!」「えへへど~も」
「何で小早川隆景は博多じゃなくてこんな町外れに築城したのかな?」
「当時豊臣政権はスペイン・ポルトガルの侵略と対抗するための軍港を九州北岸に予定していました。
その最大の基地が名護屋城です。
臣下の小早川はその意を組んで軍港に使える城を用意した、そう解釈されています」
「うん。良い答えだね」
おー!時サンにマルを貰ったよ。
パチパチパチって、お延さんもういいよ。
って、遊覧船のお客さん達だったー!
ハーズカシィーっ!
多々良川河口から名島城を見上げると、石垣と下見板張りの塀、そしてその上に聳える下見板張りの黒と白の天守。
城の東側、本丸と二ノ丸を分ける堀を北上し、城跡をグルっと回って福岡へ戻る。
かつて二之丸や三之丸があった辺りは住宅街となり、さっき通った堀の脇には高速道路の高架が聳えている。
昔は小早川家の臣下の邸が並んでいたんだろうなあと思いつつ、左右で全く違う景色を遠く眺め、不思議な気持ちになる。
「ねえ時サ…」
「ああ、ここも跡形も無く、神社がある小高い丘と団地になってる」
本当の歴史ではどうなってるか、って聞くまでも無かった。
「そっかあ。なんだか両方見て来た時さんにとっちゃどっちが本当なんだか解んなくなるよね」
「はは…」時サンは曖昧に笑って、答えてくれなかった。
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遊覧船は福岡城に戻り、私達はホテルへ戻った。
「長浜ラーメン!」
「ジャパニーズチャイニーズヌードル!
って何が何だかカワリマセーン!」
「あはは!」
グラ玉は元気だなあ。
リクエストに応え、タクシーで長浜の埠頭に。
おお!夜の殺風景な埠頭なのに赤提灯や屋台、プレハブ小屋がズラ~っと並んでる!
「お祭りみたいねえ」
「ぬう、トンコツのニオイ」
「たべいこー」「イコー」
長部屋台村で生ビールでカンパーイ!
そしてこってりあっさり豚骨ラーメン!
「年寄の胃に応えるなあ」
「やっぱりオッサンねえ」
「「うまー!うまうま!」」
こっちはいつもよりギアが入った感じ?
「替え玉お願いします」「こっちも」
え?お延さんもお次さんまで?
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そしてホテルへ。
屋上露天風呂、そしてホテルの部屋から見下ろす福岡城は、江戸城とも大坂城とも違う、妙に戦いのための城!って感じがして違う迫力があった。
ホテルで扱っている、市内で醸された「博多百年蔵」、黒田官兵衛に因んだ同じ蔵の「如水」を利き酒しつつ、深酒しない程度で寝る事にした。
勿論グラ玉姉妹は深夜過ぎでもはしゃいだり深夜アニメ見たりしてた。
頼むから寝てちょうだい。
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城の間近のホテルっていいなぁ~。
朝起きたら目の前に豪華なお城が広々~って広がるこの贅沢な景色!
「今朝もご機嫌ね」
といつもニコニコなお延さん。
「ちょっと夜は騒がしかったけどね」
張本人のグラ玉は仲良く団子になって寝てるし。
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※福岡城の前身、名島城の廃城は、史実では関ケ原合戦後です。水害が多発したという理由もある様です。
※名島城の平面構成は
・福岡県立図書館蔵の出自不明の絵図
・「筑前国続風土記」収録図
・摩訶不思議な謎絵図、広島浅野家「諸国古城之図」
でぼんやり解りますが、それを絵に思い描こうとすると結構脳味噌がオーバーヒートしそうです。
前2者が家臣屋敷割等が詳細ですが、夫々本丸と天守曲輪がひっくり返ってたりして難解です。
建物については、天守が何層だったか、下見板張りか塗籠だったか等も不明です。
具体的なイメージを掴める絵って、やはり市井の城研究者、余湖さん作のものが一番です。
http://otakeya.in.coocan.jp/hukuoka/hukuokasi01.htm#najima
※今回のホテルは架空です。
もうひとつ、長浜のラーメン屋台って20世紀末は凄かったけど今は10件足らずだそうな。
それでもコロナ禍からの復活を目指して新店舗を立ち上げたりしている様です。
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