第4話24番人造人間オメガ

 むう。土下座動画を世界に流すか?

 ………上から怒られるのは確実だな。人類滅亡の危機に何やってんだ?って。


「でも粛清逃れても、罰とか食らうのも駄目じゃないか?俺嫌だぜ、怒られるの」


「それでデルタね〜さんが戻ってくるなら、安いものでしょ。どっちみち、ね〜さんいなくなったの、次の戦闘の時にバレるんだし」


 確かにそうだ。デルタが帰って来なかったら………どうなるんだ?デルタが怒られるのか?俺が怒られるのか?

 ………俺っぽいな?デルタは完璧な理論武装して、俺の責任になりそうな気がする。


「いや、ソレはそうだけど」


「ね〜さんの事、愛してるんでしょう?」


「うん」


 それは疑うことでも迷う事でもない。人造人間として造られてからの付き合いだ。

 俺達は人類を守るために、お互いに愛し合う為に、その為に造られたと言って良い。


「いなくなって寂しいんでしょう?」


「うん」


 それもそうだ。


「はぁ!あっしは愛人枠すか?私の事は遊びっすか?遊びっすね?じゃあ公開土下座しましょう。後悔土下座かな?あっしを弄んで、すいませんでしたって、全世界の前で誤ってください」



「おい。お前がキレてどうする?趣旨変わってるじゃないか?」


 何だこいつ。個人的な恨みを俺にぶつけてやがる。


「だってムカつくんすよ。散々あっしの胸を揉んどいて、他の女が本命だとか、舐めてんすか?」


「う、だってデルタ胸小さかったし」


 ついついデカイ胸の誘惑に負けてしまった。

 男のサガだよ。

 胸が小さいデルタと、胸がデッカイ、コイツがギルティ。

 俺悪くないよ。

 砂漠歩いてた時に自販機見つけて、壊してジュース盗んだ様なもの。緊急避難テキな何かだ。多分。


「うわ。ガンマに〜さん、最低っすね。そりゃデルタね〜さん怒りますよ。あっしの胸が目当てだったんすか?そうなんすね?」


 うん。それもある。婚約者デルタはスレンダーだから、ついつい巨乳のオメガに惹かれてしまった。コイツは人造人間としてポンコツでも可愛いんだ。

 繰り返すけど。俺が悪いんじゃ無いよ。

 俺を誘惑した、大きな胸が悪いんだ。


「大体。俺等、初期型人造人間には、戦闘に不利になるような、デブだのガリだの巨乳だのは、ありえないんだよ」


「そうなんすか?」


「そうなんだよ」


 支援用女性型人造人間でも、その辺はきっちり作られてる。男性に至っては、極限まで計算されたパワー持久力共にバランス良い体型になる。


「ほえ〜。だからスレンダーな、ね〜さん達多いんすね」


「それが普通だ。なんで、お前は立派なもんついてんだよ?」


「あっし等世代は、資金も設備無くて技術も半端でしたし、せめてもの抵抗じゃないっすかね?」


「どんな抵抗だ?力のいれる場所、間違ってるだろ」


 言われてみれば、後期人造人間のほうが、ルックスやスタイルが良い気がしてたが、そんな理由があったのか。


「現に今あっし、デルタね〜さんに女の魅力で勝っちゃってアニキNTRしちゃったわけだし、てへ?」


「てへ。じゃ無いよ」


 可愛いけれども。


「コレでも相方の23番プサイ君死んだあと。他の男性人造人間全員から、あっしをひきとりたいって、オファー山ほど来たほど人気はあるんすよ」


「そ、そうだったのか?」


 あ、もしかして、それで他の男ども嫉妬したな。それで俺の悪い噂流しやがったか。あいつ等。

 オメガ見てくれは良いからな〜。

 と言うか、男全員って事はアルファもか?

 アイツはどんだけ性欲エロいんだ?


「そうっすよ。全部断ってガンマの兄貴の所に、来てあげたのに」


 そ、そうだったのか?

 ………コイツとは昔から仲良かったけど。他の誘いすべて蹴って俺の所に来てくれたと聞くと、嬉しいな。


「お、おう」


 コイツ確かに可愛いけれども。

 少なくともコイツは俺に好意を持ってくれてるし、スタイルも良いし、美人だから、まんざらでもないけれども。


 それでも、俺は婚約者のデルタも好きなんだ。


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