第9話 結末2


 母屋からそれなり離れた作業小屋、と言っても…寒さ対策用に二階屋になってるし。


 割と大きな家だと思う…そこに移動した。


 一階は道具や網などを整備するためのスペースで、今は何も置いておらず実父が横たわっていた。


 アンモニア水を湿らせたガーゼを実父に嗅がせる。


 「…うげっ、がはっ!がはっ!?」


 実父は横になったまま、そり返るように咽せながら胸を押さえた。


 一時的に興奮状態にさせて、気付けさせるよりも意識混濁を狙った。


 「がふっ!ふぐぉっ…げほっ!」


 顔を横に向け、血痰を出した…失敗だな。


 実父は落ち着きを取り戻した…目を見開き周囲を見ながら、俺を見つけて視線を合わせた。


 大量に用意したアンモニア水は農作業に必要な物だ…今回の用途は違うが。


 アンモニアは便利なもので特にアンモニア水は、窒素源として農業に利用されている。

 

 窒素は植物の成長に必要な栄養素であり、アンモニア水は尿素や硝酸アンモニウムなどの窒素肥料の原料としても利用され…農業において、適切な量の窒素肥料を施すことで収穫量や品質の向上が期待できるのだ。


 ただし、過剰な施肥は、地下水や河川の汚染、温室効果ガスの排出などの問題を引き起こす可能性があるため、使用制限はある。



 …などと言いながら、拷問用に用意した。



 長時間皮膚や粘膜に接触させれば壊死するし、大量に飲み込ませれば呼吸困難に陥り…窒息死してしまう。


 ドライアイスも用意しており、濃度を変えようとも考えたが…もっと危ない事も出来てしまうので辞めることにした。


 やっぱりダイナマイト同様、空気中の窒素からアンモニアを作り出した人物は天才であり…悪魔でもあるよな。


 と俺が考えている時間の間も実父と目は合ったままだ。


 「…八重はどこだ?どこなんだ?ァァァァァァァ」


 やっと喋ったと思ったら急に瞳がブレ出して大量の汗を顔から出していた。


 そして震え出した…直後に泡を口から吹いてビクンビクンしている。


 これは困ったな…でも、あれでも一瞬だけ覚醒したのか…凄いなアンモニア。


 …どっちにしても薬を抜かないと、どうにもならないな。


 舌を出して痙攣してはいるが、噛み切ったら面倒…でも無いか?


 噛み切って息絶えたら…とりあえず埋めるか。


 と物騒な考えをしたタイミングで…メールが届く。

 

 「…なるほど」


 それは伯母さんのキャリアメールだった…開封メールも開いた瞬間に彼女に届く。



 某有名ネット配信者が待ちきれずに、ゴーサインを出してしまったようだ…まさかその配信者が教団関係者とは誰も思わないよな。


 煽動者も先導者も同じだと思った。

 


 …まあ、集団で来ればこちらとしては好都合だ。


 もしも何人かヘッドショット喰らっても大丈夫だろ…いやマズイか(撃つ気満々)。

 

 でも人数がなぁ…今から罠も増やせないし…電気柵の電圧上げとくか。


 もしも事件になりそうでも、警察も人手が足りないだろうし…応援呼んでも後手に回るだろうと予測する。

 

 まあ教団関係の事件は、警察も忙しさと早く終わらせたいと思うだろうから…ツッコミ少ないだろう。


 面倒な調書作成を手早くやりたがるだろうから、かなり杜撰な対応を取るだろうし。


 「次行ってみよう」


 

 


 

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