第6話 結果1
俺は伯母さんにお願いして情報収集を依頼した。
母の浮気相手を探すために色々な手段を使ったらしく、ツテがあるから任せて!と言われた。
だいぶ伯母さんもハッチャケてきたな。
そう言う人脈作りが得意って、血筋か?
最初の相手は母の過去の浮気相手である実父か…字面が酷いな。
「うん?メールか…」
胸ポケットのスマホが震え、伯母さんからの情報がメール入ったタイミングに合わせるように。
[ビーーーッ]
電気柵が切られて遮断されたブザーが鳴った。
電気柵は区画分けされており、どの場所が切られたのか分かるようになっている。
「裏から来たか…獣道を使うとはな」
まともな道は家の正面にしかない。
家の裏には原木椎茸を栽培しているため、シカやハクビシンが食べにやって来る。
たまにイノシシも来て低い椎茸を食べるようだ。
だから自然と道が出来てしまう…獣道が。
侵入経路は分かった、だから先手を打つ。
ドローンを飛ばしモニターに熱源を表示させる。
特殊な器材で熱源が低く動きの無いものは薄い灰色で表示され、生き物はグリーンに発光する。
複数のドローンで位置を確定する…どうやら3人いるようだ。
1人じゃないのかよ、と半ば呆れながら再度震えたスマホのメールを確認した。
『収監先である宗教団体関係者と接触したらしくて、彼らに色々吹き込まれたらしい』
はぁ?思わず二度見した…宗教って何?
『その宗教団体は幼児を攫い、団体の作った村に囲っていた。そこから逃げ出した子供を警察が保護して露見、逮捕に繋がった。出所後、新たな村を作るために場所を探していたらしい』
…伯母さんマジで凄いな、その情報収集能力。
つまりは母の実家を拠点にしようとか思って実父を利用したのか…いや、すでに様子がおかしい連中同士で意気投合したのかもな。
凄く頭が冷えて心音も落ち着き払った自分がいる…冷えた心は冷静さに何かを与えたような気がした。
俺の実の父は性的欲求を解消するために、年端もいかない女の子を乱暴した。
母が天真爛漫で疑う事を知らないのを逆手に取って同じく乱暴した。
産まれた子供が浮気相手の子だと知った育ての父は身を投げ出し、自殺に近い形で亡くなった。
跳ね飛ばしたトラックを運転していたのは実の父。
一番の問題は母の地元の似非同和行為だ。
要は部落差別だが、近隣のダム工事で下請けを寄越せと、昔から同和問題を理由に官公庁を手玉に取っていた。
その筆頭が実父の実家であった。
つまりは脅しや脅迫は日常であった。
それは、女遊びに興じても周囲は直接文句が言えない関係を物語っていた。
なんだ。簡単な事だったじゃないか。
殺して死体も無くなればいいんだ。母も今の状態なら何の問題も、言い訳も要らない。いつも通りにケモノを狩って食べれば良い。食べられないなら奪えば良い。探したって見つからなければ…どうと言う事も無い。
銃を持った獣が、ケダモノを仕留めに向かった。
⛰️⛰️⛰️⛰️⛰️⛰️⛰️
「おい…静かすぎねぇか?この山」
「馬鹿だな、ちゃんと管理されてるって事じゃ無いか。銃声も動物の
自然を愛する教団、団員である2人は…普通運転免許では運転出来ない準中型車を運転していたとして摘発。
反抗的な態度と相まって収監、その際にぶつぶつ独り言を言う奴が隣にいた…実父だ。
「僕があの山の中の一軒家で八重と暮らすはずだったのに…」
唯一耳に届いた言葉に2人は狂喜乱舞する。
自分達が作った霧の村が摘発されて、住処を失ったからだ。
俺たちは隣人の個人情報を引き出し、出所後に落ち合う段取りをした…そこは得意分野だった。
要するに、一方的に好きだった相手が一瞬でも絆されて、一度ヤッちまったもんだから、またヤリたい…って奴だろ?任せろよ!
ただし、ちょっとその女も気になるし。
俺らが家出娘確保するまでは偶には貸して欲しいぜ…とは言わない、言ったら何するか分からないからな。
と言いながらも、16歳未満に性的欲求を求めるロリコン教団なのだった(伯母さん談)
ドローンは光を放ち始める…おかしな事に悪さをする連中は光を嫌がる。
3方向から光を放ち旋回を始めるドローン。
「さて、落ち合うかね」
「おいっ!何でお前までこっちに来るんだ。分散して攻めるって話だろが!…なんなんだよ」
「なんで3人集まっちゃったのさ!…光が、眩しい…」
「八重はどこだ?どこ?」
グルグル天空を光りながら回る飛行体。
怯え出す2人と…母の名を言う1人。
集音器は奴らの声を拾い上げる。
うん、とりあえず動きを止めよう。幸い罠は3種類集まってる場所だし、虎バサミとボーガン、くくり罠。あれとアレはあの罠で、奴はアレで…仕留める。
方策は決まった。
ドローンはそれぞれの行動を開始する。
光を当て一歩下がらせる。
カチンと小さな音がした。
「ぎゃあ!」虎バサミが作動した。
だが血などは出ない…歯が無い挟むだけの罠だからだが、簡単には抜けないしアキレス腱はダメージを受けただろう。
別のドローンは背後から光を当て接近する。
「うわぁ!」
踏み抜いた板が真ん中で割れてロープが足首に絡み付く。
「ひゃぁあ!」
木に仕掛けた滑車が落ちた分銅により回り出し、吊り下げられる…高さは5メートル程だ。
「…え?」
ブラブラしながら放心する男。
違うドローンは実父の斜め横に移動する。
「八重は、どこ…」
まったくドローンに気にせず、歩き出す。
ドスリ…。
グラリと急に倒れる実父。
「痛、い?」
両足のふくらはぎに刺さる弓矢。
その場でもんどり打つ実父だが、声は出ない。
俺はゆっくり近づく…独特の甘い匂いがした。
麻酔で使う大麻のような匂いだった。
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