プロローグ

 楽園に、一人の天使がいた。

 特に変哲のない ただの天使である。


 天使はそこらをふわふわと飛び回っていると、ある異変を見つけた。

 それは、穴だった。


「──?」


 しかし、ただの穴ではない。

 ”空間そのもの”が穴に吸い込まれて、 ”どこか”に噴き出ているかのような。

 おかしな光景である。


 妙に思った天使が穴に近寄ると、


「──!?」


 穴から現れた[黒い大きな手]に掴まれた。


「──!! ──!!!」


 天使は必死に抵抗したが──


「──! ────」


 すぐに、引きずり込まれていった。




 沈黙が続いた。

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ウツワと悪魔の世界救済譚 喪山イズラ @izura

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