虹の向こう側
夕日ゆうや
虹の向こう側
雨の中、俺は墓前で立ち尽くしていた。
その時にアイドルにならないかと言われて、俺は少し考えることにした。
その頃にはすっかり雨も上がり、遠くに虹が見える。
虹の向こう側に、彼女は逝ってしまったのかもしれない。
その向こう側に、俺も行きたい。
アイドルスカウトの妙齢の女性はクスッと笑みを零す。
「あなたを好きになった彼女さんも、虹の向こう側で応援しているのではなくて?」
「……ものはいいようだな。まあ、俺としては悪くない話だ」
「そうでしょう。彼女さんが好きになったあなたをみんなと共有したいのかもしれません」
その言い回しにイラッときた。
彼女を出しにするのは嫌いだ。
でも、俺はもう彼女とは会えない。
その寂しさを紛らわすようにアイドルを目指すことになった。
元子役の俺にはその未来があるのかもしれない。
やっぱりその道をたどるのかもしれない。
「失礼しました。私、糸島プロの
「
連絡先を交換し、一度家に帰る。
虹は消えていた。
一瞬の輝きが、人の心に残るのなら――。
虹の向こう側 夕日ゆうや @PT03wing
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