第22話 ガンドラ大陸
虎の盗賊団からの金品に地図があったのはよかった。
「今がここでこっちに向かうと橋があるはず」
「でかい橋なのか?」
「たぶんね」
橋の前に町があるからそこで聞けばいいか。
「アリスは最近元気ないな」
「そう?宿ではおしゃべりだけどね」
「そうか」
気難しい年頃なのかもな。
「アリス?アイス食うか?」
「アイス?」
アイスクリームを出してやる。
「ひゃっこくて甘ーい」
「私には?」
「はいよ」
アビーにも渡す。
もう物で釣るしかないような気がする。
ガンドラ大陸を南下して川の近くの町に入る。やはり栄えているようで宿を取り久しぶりに情報収集だ。
「あー、あの橋もガタが来てるから渡るのも大変さ」
「川がまだ穏やかだからね、落ちても引き上げられるのさ」
「金のある奴は魔導船使ってるよ」
橋もボロくなってきているのか、まぁ、歩いて渡るしかないな。
アビーもおなじような意見だった。
次の日には歩いて橋までやってくるとやはりボロい。これでは安全に通れる気がしない。
「創造魔法」
せっかくの創造魔法だ、ここで使わなくていつ使う。
橋が綺麗になっていくのをみている人々を横目に橋を渡っていく。
「これユーヤがやってるの?」
「ん?そうだが」
「すごいねー!」
きゃっきゃと喜ぶ様は小学生のようだが、これでもこの世界じゃ大人だ。
「ほら危ないから手を繋ぐぞ」
「う、うん」
遠慮がちに手を握るアリス。
「わたしもー」
アビーも繋いで三人で新しくなった橋を渡る。
俺たちを見て他の人も行き来し始めた。
橋を渡りきるとまた街道が続いていたので車を出す。車に乗って街道を走る。
平坦な道が続き、森が途切れると大草原だった。背丈ほどの草が生えており、見渡すが緑一色でまたつまらない道だと思っていた。
「この街道は気をつけたほうがいいわよ」
「何か見えたのかい?」
アビーはそれ以上言わずに意識を前に向けている。
突然それはやってきた、車体が揺れ前面がズレる。サイのようなモンスターが群れで横断している。それにあたったらしい。
「これか、気をつけろって言われてもキツイぜ」
「私も確かなことはわからないのよ」
「ビックリしたぁ」
幸いにも全面のバンパー部分が外れただけでなんとかなったが、創造でもうちょっと頑丈にできないかな?
サイのモンスターは横断していっただけだ。攻撃性のないただ歩いていただけだろう。あんなののど真ん中にいたら生きている自信がない、いやどうにかするだろうが。
横断も終わり、ゆっくりまた南へ発進する。
「アビー、またなんかありそうか?」
「私に全部聞かないでよ、分かることは言うし」
「分かった。アリスは大丈夫か?」
「ちょっと怖かったけど大丈夫」
よし、旅を急ごう。
俺たちは出来るだけ宿に泊まらずに南下をしている。
街での情報収集がてらシャワーは浴びているがそろそろゆっくり休みたい。
「アビー、ガンドラ大陸も半分は来たと思うがそろそろ休まないか?」
「そうですね。ちょっと頑張りすぎですからこの辺で休まれてはどうでしょう?」
「やったー、車もいいけどベットで寝たい」
キャンピングカーみたいなやつでもいいんだが、いかんせんモンスターがでてくるからな。
「じゃあ次の街で休むとするか!」
「「おー」」
「宿がないなんてな」
「そんな村もあるわよ」
近くの村には宿がなかった。だから次の街を目指す。
「やっと着いたか」
車を走らせること七時間。腰がバキバキだ。
「ここなら宿もあるでしょ」
「ベットーベットー」
街に入るとようやく宿に辿り着く。
「あぁー、疲れた」
「お疲れ様」
「おつかれさまー」
宿の食堂で晩飯を食べた。
流石に二人も疲れた様で泥の様に眠った。
ようやく疲れも取れ車を走らせる。これと言ったこともなくガンドラ大陸を縦断している。
後ろでお菓子を食べてるアリスも外の景色に飽きてしまった様で眠っている。
「そろそろ港町が見えるわ」
「そこからユーラ大陸か」
「そうね、ユーラ大陸のどこかわかるの?」
「さあ?ユーラ大陸とだけしかわからない」
「馬鹿ね、ユーラ大陸には有名な研究所跡があるのよ」
アビーに呆れられてしまう。
港町に入ると船を予約する。ユーラ大陸までだが、結構かかるんだな。
「兄ちゃん魔導船は仕方ないだろ?早くて安全で安かったら誰でも乗れるだろ」
「そうだな」
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