第13話 車


「誘拐?」

「ちげぇっ!古代研究所の奥はアリスがいただけだった」

「一人で行ったんですね!」

「様子見がてらな」

 それがこんなことになるなんてな。

「アリスに服を買って来てくれ」

「私が?まぁいいですけど、はい」

「はぁ、これで足りるか?」

「私の分がない」

「はぁこれでいいか?」

 同じだけ出してやる。

「んじゃいってきまーす」

「いってきまーす」

 女二人で……ってやばいな!

「待て!俺も行く!」


「つぎは此処です」

「いってら」

「つぎはあそこです」

「いってら」

 財布と化した俺はいまなら人が殺せそうなほどの気力がを振り絞ってついて行ってる。

 何故死にそうになった後にショッピングなんか楽しんでんだよ!

 アビーは関係ないか。


「ふぅ、久しぶりに買い物しましたがあまりいいものが無かったですね」

「んじゃそんなに買うなよ」

 袋二つ三つじゃねぇぞ。

「女の子は色々いるんですよ」

 あぁ、そうですかい!

「それよりユーラ大陸って南西にある大陸だろ?」

「そうですね。行くには西のガンドラ大陸を経由しないといけませんね」

「真ん中を突っ切って行けないのか?」

「そこを通れる船がないですね。死にたいならどうぞ」

「なんでなんだ?」

「一説には大きな穴が空いている、一説には魔の海流が存在しているなどです」

「噂話か」

 まぁ余計なことはしない方がいいな。

「ガンドラ大陸にいくより戻って西に行くのは?」

「それでもいいですけど遠回りになりますよ?」

「は?」

「ディシディア大陸とユーラ大陸の間の海は広いですから船で一か月はかかるんじゃないですか?」

「ガンドラ一択か、渡るには船か?」

「船ですねぇ」

 プログラムって本部にはあるんですよね?神様?

「明日はガンドラにむけて出発だ」

「おー!」

 アリスはキョトンとしている。

「おー」

 一応は言うみたいだな。


 三人だと車だな。四駆の頑丈なやつにしよう。

「創造魔法」

 できた車に第五等級の魔生石を四つセットする。

 運転席に座り動かしてみるが遅いな、魔生石が足りないか、第4等級の魔生石が必要か。後者だろうな。


「アビー、第四等級の魔石の取れるモンスターは近くにいないか?」

「んー、リザードマンが第五等級だからワイバーンあたりを狙ってみたら?」

「どこにいるんだ?」

「ここからだと北の岩山だと思うけど」

「なら行ってくる、大人しくしとけよ」

「はーい」

 こいつだんだん口調が崩れて来てるな。

「アリスもな」

「はーい」

 真似しなくていいんだぞ。


 北の岩山まで来たが、ワイバーン多すぎだろう?!

「アイストルネード」

「クカャアァァァァ」

 何匹か落ちたなぁ。

「アイストルネード」

 落ちた地点に行って剥ぎ取りを開始するが、やはり多すぎるワイバーンに邪魔される。

「アイストルネード」

「アイストルネード」

 これじゃ乱獲してるのとかわらんな。

「アイストルネード」

 何匹かは逃げたからそのうちにアイテムボックスに入れて行く。あとから剥ぎ取りが大変だな。


 バイクに跨り南に進んで途中で解体をし始める。魔生石はそれなりに大きく身体にキズもほとんどないので高く売れるだろう。

 途中ギルドに寄って三頭だけそのまま売ろうとしたらオークションになってしまった。

 一週間後にオークションが開催されるらしいからそれまで足止めだ。


 帰ってから車に魔生石を取り付け走らせると明らかにパワーが違う。これなら普通よりパワフルな走りができるな。

 まぁ、魔生石を鑑定したら第三等級だったからパワーがアップするのは間違いないのだが、アビーのどこが情報屋なのかが不思議なところだ。


「いや、その前にアビーはもうついてくる必要ないだろ?」

「そ、そんなこと言わないでよ!もう仲間でしょ?でしょ?」

「いや、情報屋なんだろ?此処まででいいよ」

「いや!なんで仲間外れにするの!アリスはよくて私はダメな事あるの?」

「バイクに乗れない」

「他の作ってるの見たもん!やだ!仲間外れはやだ!」

 こいつ素が出てるな。

「分かったよ。でも情報収集は任せるからな」

「うわーん、良かったよー、やるよー」

「泣くほどのことかよ、って泣き真似か」

 アビーにアリスか、大変そうだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る