第10話 ウェルブ


 朝早くに起きてガィンが起きていたので出発することを伝える。

「そうか、気をつけてな」

「はい、そちらこそ」

 歩きである程度進み、そこからバイクでまた街道を走って行く。途中で呼び止められることもあったが無視して走って行く。

「おい!止まれっていってるだろ!」

 走って追いついて来たハゲがいたので止まると、ゼェゼェと息を吐いている。

「そ、その乗り物はなんだ?」

「バイクという乗り物ですが?」

「それを買いたいと言う人がいるんだが」

「それは無理です。俺の足ですから」

「だよな、じゃあ殺して奪っても?」

「勝てるならどうぞ?」

 男は手を挙げて、

「うそだよ、そんなもん乗り回してる奴に勝とうなんて思ってない。ただの時間潰しだ」

 喋ってる間に馬車が此処までやって来ていた。

 俺は剣を取り出して牽制する。

「この人数に勝てると思うのか?」

「ライトニング」

“バリバリ”と音を立てて馬車を攻撃する。

「なっ!魔法使いか!しかも無詠唱」

「勝てる勝てないじゃなく、勝つようにするんですよ」

「わ、分かった。俺らが悪かったよ」

「ウィンドウォール」

 矢が飛んできたが変な方向へ飛んでいく。

「お仲間さんはそう思ってないみたいだな」

「くっそ!やめろお前ら!」

 四人が出て来て話をする。


「たった一人だろ?さっさと殺せよ」

「お前は馬鹿か、さっきの魔法見ただろ?」

「あたいの矢も役に立たないみたいだしね」

 妙齢の女だ、こいつが矢を放ってきたのか、

「どれ、おれが殺ってやるよ」

「やめとけ、無詠唱の魔法使いにかてるのか?」

 男が大剣を振り上げた瞬間にアイスバーンで足元を凍らせると後ろに倒れて動かなくなった。

「だから言ったのに」

「キャハハハ」

「お前強いな、俺たちの仲間にならないか?」

「盗賊の仲間なんてごめんだね」

 剣呑な雰囲気になるが、

「やっぱやめた、おい、ルルブを起こして出発するぞ」

「あーい」

  

 俺はバイクに跨り発進する。

 こんどから追いつかれても無視しよう。



 旅は順調とは言えないがそれでも先に進んでいる。街道と言っても道はでこぼこしているのでスピードは出せない。

 一日平均三百キロ程走っている。まだ着かないのはそれだけ大陸が広いんだろう。縮尺が分からないから地図では分からなかったな。


 今夜は一人で夜を明かす、探知魔法に警報をつけて寝てしまう。

 夜中に警報で目が覚めたがホーンラビットだった。一応狩ってアイテムボックスに入れておく。


 すこし寝不足気味だからつぎの街が村で宿を取ろうと思う。今まで素通りしてきたがさすがに疲れが溜まってきた。

 昼過ぎに街というほど大きくない町かな?について冒険者証を見せて中に入る。

 ギルドで宿を聞くとおススメを紹介してもらい宿に入って早々に眠りにつく。自分が思っていたより疲れていたようだ。


 朝早くに目が覚めて、クリーンで身体を清める。パラパラと塩なのか汚れなのかが落ちて行く。やはり風呂に入りたいと宿にシャワーがあったので入っておく。

 

 ギルドでガラム大橋まであとどれくらいなのかを聞いてみると馬車で二日らしいのでバイクなら半日で着くな。

 あと一日ここに滞在してから行くことにする。情報収集のためだ。


 情報屋と言うところがあったので聞いてみるが簡単な情報しか取り扱ってないようだ。

 残念に思いながら店を出ると怪しい男が近づいてきて情報を買って欲しいらしい。

 バーに行き、欲しい情報を聞くと金を提示された。その金を払い情報を聞く。

 組織の名前はエアー、レイリア大陸を拠点に活動してるらしくあっちではそれなりに有名らしい。表向きは魔法の研究をしているらしく、それなりにパトロンもいるようだ。

「表向き?裏があるのか?」

「不老不死の研究だと噂で聞いている」

「そっか、ヤバい連中だな」

「あぁ、旦那も気をつけてな」

「ありがとよ」

 多めに金を払って店を出る。


 全てが終わってからだと厳しくなるな。なんとか阻止できればいいんだが。やはりプログラムの解析を行っているんだろう。デバイスが手に入っていたら時間の問題だろうな。

 宿に帰り簡易型デバイスを作ってみる。創造魔法の出番だろ。プログラムNo.さえわかれば消去してしまえばいいんだから。確認するとプログラムは一から百までしか無い。そのなかには不老不死のプログラムは入っていない。

「どーすんだよこれ、普通のプログラムじゃないな」


 エアーが何か掴んでるかもしれないな。とりあえず接触してみるか。

 

 次の日は朝からガラム大橋に向けて出発した。バイクで半日かかるが途中から道が石畳になった為、すこしは楽になった。

「デケェな……」

 ガラム大橋は思っていた倍以上デカく頑丈そうだった。通行料が取られたが冒険者のため検査などはパスされた。

 橋の上なので風が強くバイクじゃ危ないため歩き出す。馬車だと辛いだろうな。


「はぁ、やっと半分か」

 半日かけて半分くらいまでくると、そこでは小さな町のようになっていた。

 門兵に聞くと風の町ウェルブと言うらしい。宿を取り疲れを癒す。ここの宿でレイリア大陸について情報収集をする。

 レイリア大陸には六つの都市があり、一番治安がいいのはこのガラム大橋を出て直ぐにあるサイザンと言う都市らしい。逆に一番治安の悪いのは北西に向かって約四日かかる都市、ヴァリナと言う都市だ。

 だが、ヴァリナと言う都市に古代研究所があると言う。行くしかないらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る