第5話 狩り


「雨は止んだな」

 昨日の雨は止んでいて青空だ。

 部屋を出て下に朝食を食べに行く。

「うん。美味いな」

 ハムエッグ、トースト、オレンジジュースだ。

「さて、今日は何をしようか」

「それじゃ狩りだな」

「うおっ!」

「よ!錆猫の居眠り亭とは豪勢だな」

 そこにはホープがいて、後ろの方にダダンだがいた。

「ビックリさせるなよ。で?」

「狩りに行こうぜ?」

「一昨日狩りに行ったばかりだろ?」

「今日はここらの案内がてら狩りでもしようかってな!」

 俺を案内してくれるのか。

「なら一緒に行くしか無いか」

「そらそうだ」

 ホープは笑って答える。


「ユーヤ会いたかった」

「一昨日会ったばかりだろ」

「もー、そんなこと言わずに」

「辞めなさいケイト!」

「怒られちった」

 ケイトもアイリーンも普通だな。


「俺たち『雷獣』は結構有名なんだ、だからユーヤも入らないか?」

 ダダンが急に勧誘してきたが、

「まだこの街にも慣れてないんだ、勘弁してくれ」

「そりゃそうか、焦りすぎたな」

「どっか入る時は『雷獣』にすると思うよ」

「言質とったからな」

「入らないかもしれないけどな」

 ダダンは肩をすくませ笑う。


 宿屋を出ると地面は乾いたところと水溜りがあるくらいで歩くのに支障はない。

「どこにいくんだ?」

「まずはギルドだ」

「なにするにしてもギルドに報告しとくんだよ?」

 ケイトが教えてくれるがギルドで把握しとくためらしい。

「帰ってこなかったりしたら探索隊を出動させたりな」

 そこら辺はしっかりしてるのか。


「分かりました明日までですね」

「あぁ、よろしく頼む」

 期間は長めに取っておく、そこから三日経つと探索隊が探しに行くらしい。

「まずはユーヤの鎧からだな」

「俺はこれでいいが」

「鎧は必要だ、みんなの鎧を見てみればわかるが傷だらけだろ?そんな服だけだと死んでもおかしくないぞ?」

 よくみれば大きな傷はないが小さな切り傷や刺し傷がある。

「分かったよ、鎧だな」

「防具屋にいくぞ」


「うーん、これも似合うけどこっちも」

「実用的なので頼むよ」

「革鎧でも種類が多くてさ、ユーヤは何色が好き?」

「森や草原だろ?緑か黒あたりじゃないか?」

「なら黒ね!これでいいわ!」

「黒ならローブもいいかもしれませんよ?」

 ケイトとアイリーンが見繕ってくれる。

 

 結局、革鎧一式とローブを買った。

 足りない分はダダンが貸してくれた。クリスタルディアーの儲けから引いてくれるそうだ。

「かっこいいぜ!」

「揶揄うなよ」

 ホープがにやにやしながら近寄ってくる。

「武器は持ってるんだよな?」

「あぁ、剣ならある」

 アイテムボックスから剣を取り出す。

「剣帯が無いじゃないか」

 結局、剣帯と鞘も買う事に。


「よし、じゃあ今日はバラージュ草原から迂回して魔の森の浅瀬で狩りをするぞ」

「了解」

 少し動きづらいが慣れればどうって事ないが、みんなの後をついて行くだけで汗が吹き出る。

「どう?少しは慣れた?」

「まーな、だがケイトは軽装すぎないか?」

「私は弓師だから後衛なの、あんまり重いのだと隙間を狙えないでしょ?」

「あぁ、そう言う事か」

 役割で装備も違ってくるんだな。

 ん?俺は?

「ユーヤは一人でも狩りに行きそうだから近接装備だよ」

 聞きたい事をありがとうケイト。


「ハングウルフだ、仕留めるぞ」

「五匹!」

「プログラム十二、セット」

「もっと近付いてからだ、今!」

「起動」

 三本の火矢が飛んでいく、ケイトの矢も一緒に飛んでいく。

 ダダンが一匹仕留めていた。計五匹、瞬殺だった。

「こいつらは核だけ持っていく、あとは分解されるだろう」

 ホープがチャチャっと核を取り出した。

「ハングウルフは五、六匹で行動してるから一人の時は注意しろよ」

「分かったよ」

 ダダンは親切に教えてくれる。


「ここで昼飯だ」

見晴らしのいい丘で飯を食うみたいだ。

「ほれ、ユーヤの分」

「カロリーバーか」

「味はまあまあだぜ」

 食べてみるとフルーツの味がしてこれなら美味しいと感じるな。

「食べながらも警戒しとけよ?ホーンラビットなんかも出てくるからな」

「出てこないかな?あれ肉が美味いんだ」

 ホープが周りを見渡す。


 索敵で見てみるとすぐそばにいたので剣で切り落とす。

「おお!ホーンラビット!」

「さすがユーヤ」

「そんな近くにいたのか」

 驚く『雷獣』達にたまたま見つけたと言い解体を教えてもらう。

 角も毛皮も肉も売れるらしく良モンスターらしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る