先輩


「毎回、辞めたいって思っているんだけど理由が見つからなくてね、誰かがそばにいてくれたら辞めれるかもーなんつって」


1階のソファーにおりてきて置いてあったタバコに火をつける。


「昔からこうゆうのしてたんですか?」


「ううん、周りでしてる奴らもいたけど、俺は絶対やらないって決めてたから。吸い始めたのは1、2年前かな」


「そうなんですか、、」


「30後半になって、足洗って普通の人生やり直そうと思って。組抜けようと思ったんだけどカタにはめられてさ、借金作っちまった。なーんか全部どうでも良くなっちゃって、毎日死にたいって思ってた。引くよなこんな話」


「いえ、全然引かないです」


目をまんまるにしている先輩が、なんだか可愛く見えてきた。

大丈夫、だってわたしも同じ気持ちだから。

毎日何のために生きているのか、誰かに答えを教えてほしかった、先輩ならわたしの気持ち理解してくれるのかな。


「みきちゃんは、やっぱり俺が見込んだだけあるな。面白い」


「テッちゃん先輩」


「あー、テツでいいよ」


「じゃあ、、テツさん。今から変なこと言いますが聞いてもらえますか」


吸っていたタバコを消してわたしの方を向いてくれた。



「もしも、これからわたしがあなたのそばにいたらこの先の運命は変えられますか?」



「そんなこと、簡単に言っちゃっていいの?おじさん本気になっちゃうよ?」



「告白断った後すぐにテツさんが別の人と付き合ったって聞いた時めっちゃ悔しくて、なんで諦めちゃったんだろうって。もっとわたしが強かったらって後悔してました」


あの時、わたしもテツが好きで受け入れようと思っていた。だけどそれを知った他校の女子達からの嫌がらせは凄まじいもので、当時のわたしにはとても耐えられるものではなかった。


「後から俺のこと好きだったって幸太郎から聞いたときにはもう遅くて、いじめた奴らボコボコにしてやりたかったけど、我慢した」


「知ってたんですか」


「うん。俺のせいで、あの時は助けてあげれなくてごめんね」


「大丈夫です。またなにかの縁でこうしてテツさんに会えました」


こっちおいでとテツに抱きしめられた。


















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