調査報告会
午前11時、いつもの喫茶店で調査報告会を開いていた。
あの後少ししてから1階のソファーで寝ている男の隙を見て脱出した。
「ちょっと今回はびっくりするかも。まず、わたし達の知ってる人物が一人います。誰だと思う?」
にんにく多めで頼んだペペロンチーノをお箸でズズッと食べる。
「誰だろう。共通の友人といえば、幸太郎かシンタロウか、そんなとこでしょ。まさか鈴木先生?」
美味しそうにオムライスを頬張りながら、まんまと当てられてしまった。悔しい。
「そう、シンタロウだったの。びっくりじゃない?後もう一人いたんだけど、それは今のところ分からない。でも確実に男」
「なんで分かるの?もしかして盗聴器無事に設置できたとか。めっちゃいいの奮発しちゃったからご報告が楽しみ、名探偵」
「そのまさかだよ、とりあえずこれを見てほしい」
スマホにも撮っていた例の物写真を見せた。
「終わったね。みきちゃんの推理当たってたね。やっぱりあなたに依頼して正解だったよ。録音したテープも聞きたいから場所変えようか」
席を立つかおりのオムライスはまだ三分の一残っていてさすがに今の状況で食べたいとは言えず、支払いをしているかおりの横で待つわたしは、まるで付き合いたての女のようにモジモジしていた。
今誰もいないから、とかおりの家に上がらせてもらった。綺麗に整頓された靴箱、ゴミ一つ落ちてない廊下、感心しているとこっちと子供部屋に案内された。少し待っててと、一人取り残され、玩具の量に圧倒されていると、ごめんね〜と飲み物を持ってきてくれた。
「旦那結構感鋭くて、子ども部屋なら誰かが来たということがバレないから。子供14時にはお迎え行かないといけないからそれまでだけど、とりあえず何から聞けばいいのか、、」
息をする間もなくアワアワしている横でわたしは妙に落ち着いていた。
麦茶を飲んで深呼吸し、とりあえず録音したテープ聞いてみる?と再生ボタンを押した。
聞き終わったかおりは深いため息をついて、ぐしゃぐしゃと重なる玩具の山から紙とペンを引っ張り出し、今分かっていることをひとまずまとめよう、と言ってきた。
「じゃあまず、調査初日。かおりの旦那と知恵が山小屋に行った日に、もう一人合流している人物がいて、でもそれは、男か女かもはっきりと分からない。仮にこの人物をA氏としよう。」
了解。と刑事のように組織図を書き出していくかおりを見ながら、なんだか楽しくなってしまっている自分を隠す。
「んで、第二ミッションの時は、シンタロウと一緒にいた人物をB氏、これは確実に男、そしてこの二人は薬物確定。もしかすると、A氏はこの二人のどちらかかもしれないから、チェック入れといて。で、中ちゃんという人物。話の流れからすると、知恵の可能性が高いけど、録音データを参考にしたら、奴らは銀行強盗を計画している様子だから、銀行勤めである旦那さんの可能性も捨てきれない、そんなとこか。」
はあ、とまた大きなため息をついて、わたしの旦那が薬物をしている可能性は何%だと思う?と聞いてきたので、今の段階だと50%かなと答えておいた。
「計画実行の日が近いから、もうゆっくりしている時間はないね」
「旦那不倫してると思ってたんだ。最近そうゆうのもなくなっちゃって。でももっとやばいことに足突っ込んでる」
知ってしまった以上やるしかない。思いつく案出し合って阻止してやろうじゃないの。
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