犯行の計画
ほんの少しの光が漏れているだけで、笑えるくらい何も見えない、もう少し大きな穴を開けなければいけなかったか。くやしい。耳を潜めたけど何を話しているかも分からなかったので、寝袋に寝転がっていたらだんだん眠たくなってきて、気づいたら寝てしまっていた。やってしまった。2時間も寝てしまっている。下の階には誰もいなさそうだ。とりあえずセットした盗聴器を回収しにいってみるか。音を立てずに階段を下ろしゆっくり降りる、慣れたもんだ。カーテンから漏れる光が、朝だということを物語っている。ドアを少し開けると、リビングにはテレビがついていてソファーで横になっている誰かがいた。こちらには気付かなさそうだ。チャンス。こっそり隣の部屋に移動して、盗聴器を回収だ。
部屋に入ると、テーブルの上には薬物らしきものが散らばっていてわたしの想像していた光景そのものだった。こうゆうものは、使った後はすぐ片付けろよと思ったけど、初めて生で見る光景になんだか胸が高まってしまった。やはりという感じ。改めて探偵をしていると実感した。わたしは、その光景を写真に収める。何かあればこれを突きつけてやる。何も言えないだろう。
盗聴器を回収して、こっそりまた屋根裏部屋に戻った。
…計画通りに進んでいるのか?もう少しで俺らは自由になれる。まとまった金さえ入れば、海外にでも移住しようか。中ちゃんがきたら、もう一度裏ルートの把握をしよう。あの銀行セキュリティー低いったらありゃしない。俺だったらあんな銀行に金なんて預けないね。
知らない男の声でなにやら悪い計画を話している。中ちゃんとは、SNSオバケのことだろうか。確か元々銀行で働いていたっけ。旦那さんとはそこで出会ったと言っていたな。同じ名字だから、旦那さんの可能性もある。
…はい、もう一度確認しましょう。午後からこっちに向かうって連絡入ったんで。それより、こないだ海外に行っていい物買ってきましたよ。今日はこれでキメましょう。
息を飲んだ。それはこないだ久しぶりに会って話しかけてきたシンタロウの声だった。海外に行く話をヘラヘラと話していたけど、この薬物を買いに行く為だったのか。恐るべし。それからは何やら訳の分からない言葉を発していたけど、とにかく凄く楽しそうで、薬物を経験したことないわたしには未知すぎて、恐ろしくなった。テレビの世界だけではなく現実で、しかもこんな身近に薬物が出回っているんだ。かおりの旦那を見張る計画だったのに、何やらめんどくさいことに巻き込まれそうな予感がした。
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