捜査
時計を見ると23時55分、まだまだ夜はこれからだ。
それにしてもわたしの家なんかと比べ物にならないくらい立派な建物だな。家賃3万のボロボロのワンルーム、もちろんトイレバスルームは一緒、まあお風呂なんて外に出なければ入らないし、どうでもいい。むしろここの屋根裏の方が住みやすいかもしれない。いっそのことここに引っ越してやろうか。目を瞑るが、全く眠る気になれずイライラしてきた。もしかして、この近くに遺体が埋まってるんじゃないかとか考えたりしたら尚更寝れなくなってきて、また怖くなってきた。睡眠薬を飲もうか、いやだめだ、誰か来たときに危ない。薬を飲むとパラソムニアになって何をするか分からない。昔、捨てた記憶がないのに、ゴミ置き場にしっかりゴミが捨ててあって、誰かわたしの部屋に侵入して捨ててくれたんだろうか、と焦ったんだけど、無意識に捨てに行ってる自分に気づいた時にはゾッとしたもんだ。
それにしても暇だ。facebook、同窓会の写真アップしてるじゃん、SNSオバケは相変わらず几帳面なやつだ。わたしの顔めっちゃ引き攣ってるし。もっと違う写真あっただろ。明らか自分が可愛く写ってるやつ載せるじゃん、うざい。いいねは23か、何の為にあげるんだか。
そうだ。念の為どこかに穴を開けて2階の部屋を見れるようにしておこう。いよいよ、わたしにも犯罪の匂いがしてきたけど、ここまできたらやるしかない。かおりのために人肩脱ごうじゃあないか。床に隙間がないか探し、持っていた鍵とハンマーで小さい穴を開けた。
よし、一旦下からライトを照らして確認しに行こう。もし仮に、かおりの旦那さんとSNSオバケが不倫していたとしたら正直に言うべきなんだろうか。わたしなら、黙っていてほしいかも。下の階から穴が開いてる事は全く分からない、我ながら凄い。
そんな時、誰かの話し声が聞こえた。一瞬戸惑ったが、わたしはすぐライトを消し、かおりが買ってくれた盗聴器を椅子の隙間と隙間にセット。作戦では、一階のソファーの隙間にセットする予定だったんだけど、仕方ない。そして、すぐ屋根裏の定位置に戻る。
声は男、人数は2人くらい。こないだ昼間に来ていた人だろうか。少しすると、わたしがいる下の部屋でガタガタッと音がした。緊張する。死にそう。そういえば、玄関の鍵は閉めていただろうか。楽しそうな雰囲気ではなく、もの凄く静かだ。わたしは、先程開けた穴から下の様子を息を潜めながら覗いてみた。
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