捜査
土曜日夜、かおりが迎えにきてくれた。子供は旦那さんが見てくれているみたい。友達の相談に乗らないといけないと行って出てきたらしい。いい旦那じゃないか。ファミレスでミートスパゲッティを食べ腹ごしらえ。
「これ報酬の二万円、本当に助かってる。ありがとう」
「あれ、多くない?」
「前回の分も払わしてほしい」
断れずありがたく頂いた。はあ、またあの小屋に行くのか。しかも今度は夜中だ、大丈夫だろうか。
「じゃあ、また明日の夕方ごろ迎えにくるから、宜しくお願いします。」
頭を下げて、小さくなっていくかおりの車を見送って、わたしはまた、あのトイレから侵入した。前回来た時とは違って暗い。しまった、ライトは屋根裏にあるリュックの中だ。手探りで、第一目標地点、屋根裏の階段までいく事に成功し、ホッと胸を撫で下ろしていると、鴉の鳴き声がして、心臓が口から飛び出そうになった。やめてくれよ、なんともいえない雰囲気に飲み込まれそうになる。
今日から一日お世話になる屋根裏に一礼して、リュックの中にあるライトで辺りを照らしてみたら、意外と広い。そしてかなり埃っぽい、つらい、中腰にならないと頭を打つから気をつけないと。とりあえず今日の寝床になる場所を確保だな。この下は玄関の近くだから誰か来たら起きれそう、寝袋を広げて寝っ転がってみた。うん、悪くない。
特にする事もないので、色々調べてみるかと重い腰を上げリビングに向かう。
今更だけど監視カメラが付いてないか不安になったが、多分大丈夫そうだ。そういえば、まだ二階にあるもう一つの部屋を確認するのを忘れていた。人がいたらどうしよう。玄関の鍵を開け、いつでも逃げられる準備だけはしておこうか、最悪あの沼に飛び込んで、あそこで最期を迎えるか。なんて。
ゆっくり扉を開けると、そこには椅子が3つと小さいテーブルが置いてあった。一つの椅子に座ってみる。はあ、なんでこんな事をしているんだろうと、我に返りそうになったけど今はそんなこと考えないようにした。クローゼットの中にも何もない、果たして奴らはここで一体何をしているのか。
全ての窓に鍵が掛かっていたのに、何故トイレの窓だけ開けていたのかは不思議でしょうがない。わたしみたいに、小柄な女なら入ることができるのに。まあ、こんな山奥の小屋に入る女なんてわたしくらいか。ふっと鼻で笑ってキッチンに置いてあったグラスに水を注いで一気に飲み干した。
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