第9話 初めての、お姫様抱っこ
「ん……」
目を覚ましたらサラさんの顔が目の前にあった。
「きゃあ!」
慌てて飛び起きる。
「ごめんなさい。私……」
「謝ることはないさ」
「でも……」
「それより準備しろ」
「はい」
身支度を整えて宿を出る。
今日は街を出ようと思う。
理由は特にないが、強いて言えばもう少し先まで行ってみたいと思ったからだ。
「よし。行こう!」
「はい!」
私たちの旅が始まった。
道中、モンスターと遭遇したが難なく倒していった。
「次はこれですね」
「ああ」
2人で地図を確認する。
「この辺りに群生しているらしいです」
「分かった」
目的の場所まで歩く。
少しして見つけた。
「ありましたね」
「早速採ろう」
「はい」
薬草は旅の必需品だ。
採取を始めようとしたその時だった。
「!?」
突如、地面が大きく揺れ始めた。
ゴゴゴッと音がする。
何か来る。
直感的に感じ取った。
すると、地中から巨大なミミズのような魔物が現れた。
「な、なにこれ!」
思わず後ずさりする。
「こいつはジャイアントワームだな」
「ど、どういうことです?」
「その名の通り、巨大だ」
「だから?」
「逃げるぞ」
「え?」
サラさんは一目散に逃げていく。
サラさんでも逃げる時があるんだ。
ドラゴンより強いのかな。
ジャイアントワームって……
私も必死に追いかける。
しかし……
「きゃっ!」
足がもつれて転んでしまった。
「大丈夫か!」
サラさんはすぐに引き返してきた。
「立てそうか?」
「なんとか……」
立ち上がろうとするが膝を擦りむいて血が出ていた。
「痛っ!」
「無理はするな」
「でも……」
「私が運ぶ!」
お姫様抱っこをされた。
「きゃっ!」
「しっかり掴まっていろ!」
サラさんは猛スピードで走った。
「うわっ!」
あまりの速さに転げ落ちそうになる。
それでもサラさんの胸の中でしっかりと抱きしめられていた。
しばらく走ってようやく止まった。
「ここまで来れば安全だろう」
「はい……」
私は地面に降ろされる。
もうちょっと抱かれていたかったのに……
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