第11話 ピンチ

「大丈夫かククル?」


「レイさん、なんでここに?」


気づいてはいたが、ここは気づいていなかったように振る舞うのが正解だ。

俺は間一髪助かったという表情を作り出し、それからうれしそうな表情に切り替えた。


「た・・たまたま通りかかったんだ。間に合ってよかったよ」


それは無理があるだろう。と思ったが、まあ俺が納得すればそれでいいかと思ったのでそこには触れないで置いた。


結局、レイ一人ですべての魔物を倒しでしまった。

流石は四天王といったところだ。

俺はお礼を言いつつ立ち上がる。


「ありがとうレイさん、おかげで命拾いしたよ。」


「気にするな、それよりククルにけがはないかい?」


「はい、転んだときにできた擦り傷位です。」


「そうか、なんにせよ無事でよかった。まったく、あいつも少しは手伝ってくれればよかったのに。」


「あいつって?」


そう言ったところでサラが茂みから歩いてきた。もちろん知っていたが、一応驚いた風を装ってみる。


「うわっ、サラさんまでなんでここに?」


「あー・・・たまたまよ。」


あんたもか・・まあいい。

なんにせよ、考え得るベストな解決方法を実現できたのではないだろうか。実力を隠しつつ、鬱陶しいストーキングも辞めさせられた。危ない橋を渡った買いがあったというものだ。


「それよりもククル、あなたなぜ戦おうとしなかったの?」


「そりゃ一体だけだったら戦おうとしたかもしれないけど、あんだけ数がいたら逃げるよ。死にたくないもん」


「そうだぞ、何を言ってるんだサラ、ククルはまだ子供だ、あんなのに勝てるわけないだろう。」


「・・それもそうね、ごめんなさい。さあ、帰りましょう。」


サラがそう言って帰ろうとしたとき、突然俺たちを大きな影が覆った。

俺たちは後ろいる影の主を確認しようと振り返った。

その瞬間、レイが吹き飛ばされて木の根元に打ち付けられていた。


「がはっ」


「「レイ」さん!」


俺とサラは同時に叫んでいた。

レイはとっさにうえでを挟んでガードしていたようで、何とか生きてはいた。しかしあの様子では戦うことはおろか、逃げることさえできないだろう。


さっきの熊よりもはるかに大きい。姿もまるで竜のようだった。

おそらくレイは、奴のしっぽに吹き飛ばされたのだろう。

どうする。さっきが比べ物にならないほどのピンチだ。本気で戦えば何とか倒せるかもしれないが・・


「ククル、レイを連れて逃げて。ここは私が時間を稼ぐわ。」


「でも・・」


「いいから早く!・・逃げられたら応援を呼んできてね」


「・・いやです。一緒に戦いましょう。レイさんなら木が陰になって竜からは見えないので危険はないでしょう。」


「あんた・・死んでも責任取れないわよ。」


「わかってますって。」


そう言って俺たちは、竜に向かっていった。

もちろん俺は全力で戦おうとは思っていない。が、死ぬつもりはないしサラも死なせるつもりはない。そこは何とかうまくやるつもりだった。

何とか生きて帰ろうと思ったその時、突然竜が死んだ。


「大丈夫か二人とも。」


そう言って竜の上から顔を出したのは魔王だった。

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復讐を誓い転生したら仇の右腕になってしまった~最強になって内部から復習してやる @yoshiyanosyora

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