第9話 その後

「おお、無事じゃったか、ククル。」


俺が執事を倒し魔王城へ戻ると、魔王が心配そうな顔で寄ってきた。


「執事を追うためにマーキングをつけていたのじゃが、その反応が突然消えたのでな。不審に思っていたところでおぬしがいないことに気づいたのじゃ」


あぶねえ。マーキングしてたのか。

危うく俺の正体がばれるところだったぜ。


「実は執事とライアを捜しに行っていたのですが、見つからず帰ってきたんですよ。反応が消えたということは、マーキングが外されたのですか?」


「いやあれは取り外せるものではない。それに反応が消えたということはその者が死んだということを示す。」


「そうですか、では執事はもう・・・ライアはどうなったのでしょうか?」


「ライアにはマーキングをつけれていないからの、わからん」


ライアはどうなったのだろう。

俺が執事にとどめを刺したとき、すでにライアの姿はなくなっていた。

もしライアが戦いの途中で目を覚ましていたのなら、俺と執事の戦いに割って入っただろうし、ライア自身の意思で姿をくらましたとは考えにくい。


まさかとは思うが、二人のバックにいた奴がライアを回収したのだろうか。


「そうですか、ライアと執事のことは残念ですが、これで事件は一件落着ですね。」


「そうじゃの、ククルよ、ご苦労だった。」


それから俺は自分の部屋に戻ると、倒れるようにベットに寝転んだ。

今日は久しぶりに実践で能力を使った、それも魔族に使ったのは初めてだ。

これまで能力を使いこなすために隠れて能力の訓練をしてきたが、誰かに見られては困るから相手はいつも動物だった。

森の中で腹をすかした凶暴な動物を捜し、挑発をして向かってきたところで能力を試す。そんなことをひたすら繰り返していた。


だが今回、初めて動物以外に使った。

結果的にはうまくいったが、まだまだ改善の余地はある。

俺は興奮が冷めず、その日はなかなか寝付くことが出来なかった。




気づいたら太陽が既に高く昇っていた。

どうやらいつのまにか眠ってしまったらしい。確か外が若干明るくなるくらいまで寝ることが出来なかったから、今はもう昼かもしれない。

俺は眠い目をこすりながら着替えて部屋の外に出ると、ちょうど四天王の四人と出くわした。


「おはようございます、ククル。これからご飯ですか?」


レイが俺に声をかけてくる。


「はい、ずいぶん寝てしまったのでこれから朝ご飯です。」


「そうですか、昨日は大変でしたものね、我々もこれからご飯なのですがご一緒にいかがですか?・・といっても我々はお昼ごはんですが」


「ぜひお願いします。」


1人でさっさと食べて訓練に向かおうとしていたが、レイ以外の四天王にも興味がある。

いい機会だし、他の四天王の情報も集めておこうと思う。





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