第6話 犯人は
「犯人に襲われた?!」
「いや、まだ魔王様を襲った奴と同一人物とは決まっていない。」
「そんなの一緒に決まってるだろ!」
おそらく仲間ではないだろうか。昨日奴と対峙したときに思ったが、俺に気配を気取られる奴が、魔王に不意打ちできるわけがない。
犯人は最低でも二人以上ということになった。
まじかよ、下手したらそこら中に敵がいる状況もあり得る。
「とにかく、魔王様に報告に行くよ。」
「俺も行くぞ。またいつククルが襲われるかもわからないしな、いざとなったら俺がお前を守ってやるよ。俺なら刃も通さないしな。」
「いや流石にそれは刺さるだろ。」
魔王様の部屋に着くと、ちょうど魔王様が朝の身支度を終えたタイミングだった。
「おおククルにライア、おはよう。何かあったか?」
「それが・・・」
「何!?ククルも襲われた!?、それで怪我はないか?」
「はい、撃退しました。」
「そうか、さすがだな。余は襲撃に気づかず攻撃を受けたのに、」
「いえ魔王様、おそらく俺を襲った奴と、魔王様を襲った奴は別人であると考えられます。」
「根拠はあるのか?」
「これといったものはありません。勘です。ですが俺を襲った時は気配が容易に感じることが出来ました。おそらく俺を襲ったものの方が魔王様を襲ったものより弱いのでしょう。」
「そうか。そいつの特徴などはわかるか?」
「いえ、フードと深くかぶっていたので顔は確認できませんでした。」
「ふむ。報告ご苦労。もう少し調べてみてくれ。くれぐれも気をつけてな。」
「はい。魔王様、少々気になる点があります。犯人がどこかで盗聴しているかもしれないので耳を貸していただけますか?」
「ああ・・」
「それで気になることって何だったんだよ?」
魔王様の部屋を出た後、廊下を歩いているところでライアに聞かれた。魔王様に耳打ちをしたことは、同じ部屋にいたライアと執事には聞こえていないようだった。
「別に大したことじゃない。それよりも今日はどうする?」
「どうするって言われてもな、手がかりがないんじゃどう動けばいいのかわかんねえしな。」
「仕方ない、今日も情報収集で聞き込みするか。」
そういって俺たちは昨日とは違うところで聞き込みをしていった。魔王城はとても広いため、昨日と今日で回っても全フロアをカバーしきれないほどであった。俺とライアは一通り回ったところで、今日も訓練を行うことにした。今日は昨日負けた俺がライアを誘う形になった。
結果は今日も俺の負けだった。
ライアは昨日と同じ様に突進中に分身をしてきて、それに俺が対応できずに拳をもらってしまった。しかし気絶はしなかったので良しとしよう。
「今日も俺の勝ちだな。これまでククルに負けていた分をこれから勝って取り返すぜ。」
「そうはさせないさ、次は必ず俺が勝つよ」
そう言ってライアと笑ったところで、昨日俺たちを呼びに来たものが、俺たちを呼びに来た。
「お二人とも、魔王様がお呼びです。」
「なんだろうなククル?とりあえず行くか」
「ああ」
俺たちが呼ばれたのは玉座のまであった。
玉座の間といっても、ただ魔王が座るための豪華な椅子があるだけの部屋だ。
部屋に入るとそこにはすでに魔王と執事、それに四天王の四人がいた。
「二人ともよく来てくれた。さて、早速だが本題に入ろうかの」
魔王が執事とライアの親子を玉座の前に呼び出し、並ばせた。
二人はなぜ呼ばれたのか理解できていない様子だったが、次の瞬間、二人の顔色が変わった。
「さて、なぜ余とククルを襲ったのだ?」
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