第4話 教室の時計
僕らは何事も無かったように席に着いていた。教室の時計は変わらず静かに時を刻んでいる。教室のドアがノックされ、教頭先生が男の子を連れて来た。「お願いします。」「はい。」先生が転校生を紹介する。一気に教室がざわつく。びっくりするくらいの透明感のグレーの目。かなりのクルール系のイケメンだ。女子達は「きゃあきゃあ」先生が「転校生の国見レイくんです。」クールに挨拶する。「よろしく。」
僕ら4人だけはあぜんとしていた。僕は『なんでヘビがここに?』秋山さんが、『そういえば彼、小宮山くんに弟子にしてー。言ってたよね。』遠藤も山川さんも思い出したように『そう、そう。』僕は「えー」おもいっきり声をだした。先生が「小宮山くん、静かにしてください。では、国見くんは小宮山くんの隣りに座ってください。」「はい。」レイは教壇からみんなの机の間をスルスルと歩いて来た。
途中女子たちは目が点になるくらい、みんなレイを見つめている。レイが机の角にぶつかった。「レイくん大丈夫?」「あーあ、」レイは舌をペロリと出した。舌に気づいたのは僕ら4人だ。レイは、歩いて僕の隣りに座った。前の女子達はまだ「レイくん、イケメン。ステキー、きゃあきゃあ」言っている。僕はつい「あー、うるさいな女子達。」言葉に出してしまった。遠藤が「小宮山、やきもちやくなよ。レイの師匠だろう。」「まあーな。」僕ら5人は脳内で話し始めた。
秋山さんが『レイ、歩き方がヘビっぽい。』『そうだな、初めて歩くし、二本足で歩くのって意外と難しいね。』山川さんが『レイくん、初めてにしては上手だよ。』遠藤が『そうだな魚の僕なんか何回転んだことか。』秋山さんが『転生組は何かと人間界で、人間するのも大変だよね。』みんなハモって『そう、そう。』『ところでレイ、どうして君はここにいるのかな?』僕は少しお兄さんぶってレイに聞いた。『どうしてって、小宮山くん、師匠を追いかけて来たに決まってるじゃんないか。』僕は『僕が師匠ね。』レイは続けて『あの時、みんな、あわてて時空を超えて時計のグルグルの中に吸い込まれいった。残された僕は神様ダルにお願いして人間界に転生組として送り込んでもらったんだ。そういえば、これ神様ダルからだよ、手紙、はい師匠。』
”小宮山くん、早速だが君に頼みがある。明日は満月だ。満月の時は異世界への入口がいつもより緩やかになる。誤って人間がこちらの世界に来ないように時計の番人をしてほしい。今年は特に時空線が曖昧になるらしい。もしダークサイドの異世界に引き込まれそうな人間がいたらそれも一緒に助けてやってほしい。小宮山くんの”魔眼”を使って頼む。…神様ダル…”みんなも手紙を読んだ。
遠藤が『小宮山、”魔眼”使えるんだな。さすが。』秋山さんも『”虫”小宮山くん、君はやっぱりすごい。』山川さんも『すごいね。』へびのレイが「さすが師匠。魔眼。なんだか、やっぱりカッコイイ。』突然、僕の目がブルーに光った。教室の時計の丸いフレームが、ぐにゃぐにゃと波打ちだした。『遠藤、何かおかしいぞ。』みんなも気付いた。僕らは何か得体の知れない何者かがこの教室を乗っ取ろうとしている気配を感じ取った。レイが『たぶんダークサイドの異世界からの干渉だ。僕と同じ気配がする。』さっきまで「きゃあきゃあ」言っていた女子を見た。何も気づいていない。先生も全く感じていない様子だ。『この異変にきづいているのは僕ら5人だけだ。』みんなもうなずく。『そうだな。早速仕事ですか?僕たち。』
ダル、君の依頼を僕らは、早々受けることになりそうだ。
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