ep.02

(夕方まで勉強していたアナタと彼女。遅くならないうちに帰ることにした)


「あっつ。いくら夕方とはいえ、外は暑いねぇ」


「それに――くんくん――湿った土の臭い……雨が降るかもしれないね。早く帰ろっか」


「んーっ、しっかし疲れたっ。なんだかんだ夕方まで勉強しちゃったねぇ」


「ふふん、これで少しはキミの成績も上がるでしょ」


「あ、勉強会終わったからと言って、帰って勉強しなくて良いってわけじゃないからね? ちゃんと復習は欠かさないこと!」


「勉強っていうのはね。結局は反復練習なの。ちゃんと繰り返せば、自然と成績は上がるんだから」


「ほら、めんどくさいって顔しない! ちゃんとやってね。証拠写真が送られなかったら倍の量だすから!」


「む……まぁ、最初のあのことを秘密にしてもらうための交換条件って趣旨からすると、もうちょっとキミに優しくした方が良いって思うよ?」


「でも、指導役としては手を抜くわけには行かないから。ちゃんと結果を出させないといけないのですっ」


「ふふん、どういたしまして。こう見えても世話焼きなの、私」


「へ、変態はよーけーいっ! それに、私はただキミの臭いが好きなだけだし。それだけだし!」


「ふんだっ。別に良いもんねっ」


「まったく、キミはもう少しデリカシーを持った方が良いんじゃないかな? 女の子に変態とか言わない方が良いよ」


「自分を省みろなんて正論は聞きたくないでーす。それにそういう女の子の可愛いワガママを聞いてくれるのがモテる秘訣なんだか——って、ん?」


「うわ、降って来た。困ったなぁ……傘なんて持って来てないのに……」


「このままだと、びしょぬれになっちゃうね」


「え? うちの場所? う~ん、ちょっと遠いかな」


「コンビニとかあれば良いけど、ここら辺ないしなぁ」


「へ? キミの家に?」


「ま、まぁ、傘を借りるくらいなら……」


「は、はぁ?! シャワーも浴びてけ?!」


「いやいやいやいや、流石にオトコノコの家でそういうことは――!」


「キミが何かするしないじゃなくてねっ? 私の心の準備というかなんというか」


「た、確かにこのまま濡れてれば、風邪ひいちゃうかもしれないけど、それでも、それでも……」


「――あ、ちょっと、私が決める前に走り出さないでっ!」


「私の意見も聞いてってばぁぁぁぁっ!!」

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