第5話 どうして、

「……ねえ、星。」

「なに」

「あの子、来なくなったね。」

「なにか、あったのかな。」


私もお母さんに話していた。

「この前まで来てた子なんでしょ?」

「クラスでなにかあったんじゃないの?」


「桜先生は?どこなの?最近知らない先生がいるんだけど」

「授業参観のとき、雨崎先生だっけ?」

「そんな人がいたんだけど。」


「あなたのクラス……」

「——崩壊してないよね……?」


怖かった。

お母さんだって怖かっただろう。


でも、誰かがやってくれるって思っちゃうから、


なんにもできないんだろうなあ……。


「どうして気付いてくれなかったの!?」

「絶対知ってたよね、見てたよね!?」

「なのに、どうしてこんなことするの!?」


数日前。


雨崎先生が私を呼び出した。

「どうして、気付けないんですか?」

「え?」


「えって、とぼけないでください。」

「星さんが、あなたを避けていること、」

「気付いていましたか?」


「いや、別に普通でしたけど」

「……やっぱりなんでもないです。」

「ごめんなさいね、」


「星さんがおかしくなってるだけかもしれませんので。」


「気にしなくていいですよ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る