第3話 AI絵を調べてすぐつまづく

 2023年4月4日。まずはどこで大人用CG集を販売できるのか、調べた。すぐにヒットしたのがDLsite.comディーエルサイト・コムだ。ここでは自分で作ったCGやマンガ、ゲームなどを売ったり買ったりすることができる。


 AIが作った大人用CG集は、すぐ見つけることができた。もうすでに何個も何十個もAIが作った作品は売られていた。やはりワシと同じように考え、もっと早く行動した人はいたのだ。


 とりあえずAI生成作品をひとつ買ってみた。税込み330円するものが、フェアで60%オフになって132円で買えた。これはお得である。

 AI生成作品をクリックして作品情報を見る。そこには画像の枚数とかデータの大きさ、AI生成作品であることが乗っていた。それと何のAIで作られたのかもちゃんと明記されていた。


 この作品はノベルAIを使用して作られています。これだ!


 ノベルAIとは、AIが画像や小説を自動的に生成してくれるウェブサービスだ。月額のサブスクリプションへ加入すれば、ワシもAIに絵を描いてもらうことが可能のようだった。


 ノベルAIで作った作品がDLsite.comで売っているのだから、ワシもノベルAIを使えば同じように売れるに違いない。


 さっそくノベルAIと契約することにした。ホームページが全部英語なのに今の時代ってのは便利だ。パソコンで開くと自動で日本語に翻訳してくれる。なんて便利な世の中になったのだろう。


 10ドル、15ドル、25ドルの3コースあったが、まずは一番手軽な10ドルのコースを選択した。35万のカード払いがあるが、えっちなCG集を作るのに先行投資するのは仕方ない。カード情報を入力し、設定を完了した。


 ノベルAIでは10ドルのコースを契約すると、最初に1000Anlasアンラスもらえる。このアンラスってのはノベルAIの中で使える仮想通貨みたいなもんで、AIに一回絵を描いてもらうのに5アンラス必要だ。1000も貰えるのに5アンラスでいいの?なんて良いAIなんでしょう。ノベルAIさん。ありがとう。

 

 もうこれは勝ったも同然である。さっそく、ばんばん生成していくことにした。が、しかし。最初のつまづきが用意されていた。


 プロンプトだ。AI絵を生成するにはプロンプトに指示を入力しなきゃいけない。プロンプトってなんだ? ウィキペディアを見てもちんぷんかんぷんだ。ネガティブプロンプトってやつも指示しなきゃならんらしい。早くも逃げたくなってきた。だが、ネットで調べていくうちに、なんとなく自分の言葉で理解できてきた。


 プロンプト、それは注文みたいなもんだ。床屋か美容院に行っている所を想像してほしい。AIさんがどうしたいか聞いてくる。


『今日はなんになさいます?』

「暑いんで短めに切ってください。バリカン使ってほしいです。髭剃りもお願いします」

『わっかりましたー』

「あっ、シャンプーはナシで。髪の毛にワックスとかつけなくていいっす」

 

 このように

 やってほしいことが「プロンプト」

 やってほしくないことが「ネガティブプロンプト」

 と考えることにした。


 ただこのプロンプトという注文がなかなかに難しく、

『はい。ちょっきちょきー』

 と、出来上がったモノが中央の髪だけ残した金髪モヒカンであろうが、ワシは武士でござるぅと言わんばかりのちょんまげであろうが、注文以外の要素をAIに盛り込まれても文句を言ってはいけないのだ。


 それくらい、AIにこれだ! という絵を出させるのは難しかった。だがその苦労もあって、自分の思い描いた絵に近い物を出してくれたら喜びもひとしおだ。どうすればこのAI床屋さんに自分の希望を伝えられるのか、何十枚も何百枚も作っていきながら試行錯誤していった。


 

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