第5話

後で聞いたらカメラマンの人とは仲良しで最高の瞬間を撮ってもらえるし、いろんなコマ送りみたいな画像が画面上に並ぶのは、


楽しいらしい。


俺も楽しかった。


「天華、ハンバーグだ。ハンバーグにしよう。だいじょうぶ。栄養は取れ。パパなんて若い頃は朝飯抜きの昼は定食、夜はカップ麺。だったんだけどな。

1日でも食事を抜いて次の日何か食べると、胃腸がびっくりして腹下り、汚いが、とにかく、下痢だ。

今みたいにストッパなんてない時代。

パパ、なんど間に合わず、大人用オムツを買ったことか……」


「なんか食欲失せちゃった。カップヌードルプロにするね!高タンパク、低糖質!いけるっしょ!」


だめだ。食事管理は大切にせねば……っ!

……食事管理?


「天華、ママは、」


「私のお仕事を海外からリモートでスケジュール組んで実地はお父さん任せ。すごいよね。リモート」


そうだった!日本の仕事を海外から隙間時間にケーキを食べながらこなしてるんだった。スペインだっけか!海外の会社どうなってるの?!


「パパ……」


カップ麺を食べ終え、箸をご馳走様に横に揃えてカップの上に置き。


「ママも生まれ変わりだからね」


「だ・れ・の?!」


「パパのママ。私の祖母。どうかと思うけど、愛は本物だから。じゃ!明日のインタビュー聞かれることのおさらいしなきゃだから、じゃあね!おやすみ!マネージャー!ちゃんと歯は磨くからさっ」


沈思黙考した。

話が事実なら。

ビジネスマンだった俺の母親は、産後の経過が悪く、俺が生まれてすぐ、亡くなった。いなければいないでなんとかなるかと思ったが、周りが母を惜しむ、惜しむ。淡々と、幼少期の俺は悲しくて狂わんばかりに「母」なる影を追い求めた。

そして、壮年になり、事故死。

した、自分と。

既に他界していた、実母、「母」の魂。

妻と、出会って、


子を成した!!


それが!地下アイドル活躍中、モデルもこなす、宮下天華!!!


しかも事務所には妻が勤めている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る