第3話

ふふふふふ、天華が笑いだす。

「ねえ、パパ」

お父さんだったりパパだったり、安定しないな。

そういうキャラか。


「あの時のタクシー運ちゃん、いま、どこにいると思う?」


運ちゃん?それはトラック運転手に使う言葉だと思っていた。


いや、そんなことよりも。


「犯人がどうした……」


俺を轢き殺した奴は。


言ったじゃーん、と明るく天華が宣言する。


「わたし、思わず目を瞑っちゃった、って」


全身から、悪寒よりも弱くしかし恐怖より強い、嫌な予感がする。


ま・さ・か。


「天華」


お・ま・え……!


「明日の撮影、一緒についてきてね!それから、わたし、炭水化物抜いてまーす!スパゲッティよりサラダと鉄分!ビタミンのサプリかなっ!」


裏手にピースを顎に持っていき、蠱惑的な独特の瞳でこちらを捉える。唇は綺麗な薄いピンク。そして腰をやや捻りつつも、繰り出される上目遣いに、絶妙にひるがえる制服のスカートのひだ。


考えていた。


俺は転生した。

そして妻と子を成した。

しかしその子は。


前世で俺を死に追いやった、今では天使!

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