5つ目の願い

 今はもう3月中旬、何でも一つ叶うブレスレットに願うことを決めなければならなかった。これまでいろんな願いを考えてきた。


 ・・・いじめっ子がいなくなること・・・

 ・・・明るい性格になること・・・

 ・・・みんなが仲良くなること・・・

 ・・・愛海と一生幸せに生きてくこと・・・


 高校に入っていじめを初めて経験して、友達だと思っていた人に裏切られ、いじめっ子だった子と仲良くなって、幼馴染の子にたくさんいろんな相談をして、同じクラスの子と付き合ったりとこの一年という短い期間でいろんな経験をした。私は付き合って2ヶ月くらいが経った時に愛海にブレスレットの話と、妃奈の机に書かれた悪口のことについて話した。そして今日ブレスレットに何を願うのか相談しに行った。


 「ブレスレット何願おうかな・・・。みんなが幸せに暮らせるようになる子と、とかかな?」私は愛海に尋ねた。

 「それもいいけど、優陽が今までたくさん経験した中で本当にそれが一番の願いなのかなって俺は思う。辛い経験をたくさんした中で一番他の人も同じようにならないで欲しいこととかを願った方がもっと効果を発揮するんじゃないかな」愛海は真剣に答えてくれた。

 「辛いことか・・・。やっぱり獅乃ちゃんに裏切られたことが一番悲しかったかな。」

 「じゃあ裏切りがない世界する、とか?」

 「でもそれじゃあなんか納得いかない。何というかこうしっくりこないなぁ」愛海が言った通り、裏切りにない世界、もとてもいいと思った。でも、心のどこかが何かモヤモヤして私にはしっくり来なかった。


 悪口事件が解決した後私は何不自由ない生活を送っていた。明るい友達(妃奈)がいて、何でも相談を聞いてくれる(綺羅ちゃん)もいて、そして大好きな私の彼氏(愛海)がいて、私の人生を変えるきっかけをくれたお母さんがいて私は本当に幸せな人生を送っている。

 私が今こんな幸せな人生を送っていけいてるのは間違いなくいじめの犯人の誤解だったと思う。そしていじめということがなければ最初からこんなことにはならなかったなと振り返ってみて思った。


 「私思うんだけどいじめが最初からなければこんなことには、その誤解とか起きなかったと思うんだよね。だから私は・・・いじめがなくなるように・・・って祈りたい。愛海はどう思う?」私は愛海に尋ねた。

 「すごくいいと思うよ!確かに誤解から始まるいじめも少なからずあると思う。それに普通にあの人が嫌いだからっていう理由でいじめが起こることも当然ある。だったらいじめそのモノを消してしまえばいいのかも!」愛海は強く賛成した。

 「そういじめ自体をなくしてしまえばいじめ問題がなくなるかも。だから私はいじめがなくなるようにって願う!」私は強く宣言した。


 それから残りの時間愛海と遊んだ後家に帰った。私は久しぶりにブレスレットを手に取った。


 ・・・私はいじめがなくなるようにって願います。

 私は強く祈りながらブレスレットを空に掲げた。するとブレスレットをくれたお母さんが部屋にやってきた。

 「決めたのね、あなたのたった一つの願いを」

 「うん。お母さん、私決めたよ」私はお母さんの方を向いてそういった。そしてブレスレットの方に向き直った。


 ・・・どうかいじめがなくなりますように・・・


 私はそう言ってブレスレットをちぎった。

 あたりは特に何も起きなかった。そのときは本当に効果が発揮されたのかと不安になった。しかし、その数日後テレビでニュースが流れた。学校で起きたいじめ問題がほとんど解決し学生たちは幸せな学校生活を送っているというニュースだった。あのブレスレットの効果は本当だった。私はいじめの経験を受け沢山の人と出会った。いろんな経験をした中でやっぱりいじめはない方がいいなと強く思った。みんなが幸せに楽しく人生を過ごせたらいいなと。そして、たとえいじめられたとしても、一人で抱え込むのではなく親や親友に相談することが大切なのだなと思った。


 私は聖願高校を妃奈や綺羅ちゃん、愛海と共に無事卒業し、数年が経った。私と愛海は結婚し、また綺羅ちゃんや妃奈と時々遊んだりと今も変わらず幸せな人生を送っている。

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ただ一つの願い @saya1010

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