3つ目の願い 後編

 妃奈ちゃんの悪口事件が起きてから約6ヶ月くらいが経った。今は10月中旬。私はいつものように学校へカウンセリングを受けに行き家に帰っていた。その時後ろから誰かに声をかけられた。振り向いてみると、高校に入って一番初めに仲良くなった友達、野出獅乃(のでしの)。彼女と話すのはあの事件が起こって以来だ。

 「久しぶりだねー優陽。元気にしてた?あの事件が起こって以降だよね話すの」

 「う、うん。久しぶりだね。獅乃ちゃんも元気にしてた?」

 「うん!!私は元気元気!でも久しぶりに再開できてよかったよ。私子のに話さないといけない事あったんだよねー」

 「話さないといけないこと?」

 「そうそう!だから明日の放課後ちょっと時間いいかな?」私は戸惑いながらも話が気になったので行くことにした。


 「獅乃ちゃんの話さないといけないことって何だろう。あの事件の犯人が見つかったとかかな。もしそうだとしたら遅すぎるから、そうなんだ。としか言いようがないけど」私は獅乃ちゃんの話が気になりその日はあまり眠れなかった。


 「あ、きたきた。おーい優陽!」

 獅乃ちゃんは私より早くきて待っててくれていた。

 「獅乃ちゃんくるの早いね」

 「そりゃそうよ。私から誘ったのに私の方が遅かったらねぇ」獅乃ちゃんは笑いながら答えた。

 「で、話さなきゃいけないことって何?」私は早速本題に入った。するとその時私は思いもしなかったことを目の当たりにする。

 「実は、妃奈の机に悪口書いたの私なんだよね。」その言葉を獅乃から聞いた瞬間思わず私は「え・・」と声が漏れた。そしてその後思いもしない言葉が獅乃ちゃんから出た。

 「妃奈なんか馴れ馴れしく絡んでくるからうざくてさそれでずっと机の上とか教科書とかに悪口書こうかなって思ってたんだけどうまくやんないとバレるじゃん?だからどうしようかなってずっと考えてたんだけど、ほら優陽っていつも勉強で一番最後まで教室に残ってたじゃん?私はそれを利用しようかなって思ってやったんだけど見事に私が想定してた通りになった。妃奈の周りにいる奴らが優陽を疑い出してそっから一気に学年中に広まった。私は疑いをかけられなかった。だからごめんね優陽。あなたのその真面目なところを利用させてもらったわ!」獅乃ちゃんは面白おかしく笑いながら話した。私は呆然としていた。


 そして少し時間が経った後、私は口を開いた。

 「そうなんだ・・私利用されたんだね。獅乃ちゃんに・・はは・・獅乃ちゃんと友達になれて喜んでたのは私だけなんだね・・」

 「いやー、私も迷ったよ新しくできた友達を利用するなんてでもしょうがなかったんだよこれしか方法がなかったんだ」獅乃ちゃんは申し訳なさそうな顔をしながらそういった。でも私には心の中では全く反省していないのだとわかっていた。だから、


 「じゃあこのこと学校に伝えておくね」私はこういった。獅乃ちゃんはそれまで余裕そうな顔でいたが表情が変わった。

 「は?証拠もないのに何言ってんの。今更誰がそんなこと信じるのよ」獅乃ちゃんは私のことを馬鹿にしながらそういった。

 「証拠ならあるわ。これ何かわかる?」私はポケットに隠していた録音画面のスマホを取り出した。そして今の音声を再生した。

 獅乃ちゃんの顔が一瞬凍りついたがスマホを壊そうと私に襲いかかってきた。しかし私はそうなることを予想していたため襲い掛かろうとしてきた時瞬時に

 「助けてー!!殴られる!!お願い!!誰か助けて!!」と大声を出した。すぐに周りにいた大人の人たちが助けに来てくれた。獅乃ちゃんはまずいと思ったのかその場を走り去った。そして私は助けに来てくれた人たちにお礼をいい家に帰った。


 その翌日、いつものようにカウンセリングの教室に入ろうとした時獅乃ちゃんが教室の前に立っていた。

 「あの録音したやつ持ってきたんでしょ。で、今日先生に証言するんでしょ。先生はそんなの信じないわよ。だって私が先生に吹き込んだんだもん。今日優陽が訳のわからないことを言うと思うけど気にするなって」獅乃ちゃんは笑ってそう言った。そして、カウンセリングの先生が来た。

 「あら、野出さん。こんなところでどうしたの」カウンセリングに先生ははじめにそういった。その後

 「あなた、生徒指導室から呼び出しを受けていたわよ」と先生が言った。獅乃ちゃんは「は?」と思わず声が漏れていた。

 「少し前にあった、悪口が机に書かれていた事件あなたが犯人なのでしょう?そのことで生徒指導の先生と話すんじゃないの」と先生が聞いた。

 私はその時思わず笑ってしまった。そして獅乃ちゃんはそんな私を見て

 「何笑ってんのよ!」と怒り口調で言った。

 「だって、私の一番の友達が助けてくれたんだもん」と笑顔で答えた。

 「友達・・?あんたを助けてくれる友達なんていないだろ!」と怒りながら答えた。そう思うのも無理はない。なぜなら綺羅ちゃんと喋っているところを獅乃ちゃんは見たことがないのだから。


 私は獅乃ちゃんから真実を聞いた後すぐに綺羅ちゃんに連絡し録音を再生し聞いてもらった。私は綺羅ちゃんにあるお願いをした。

 「この音声を学校の先生できれば学年主任に教えて欲しいの」と。綺羅ちゃんはもちろん頷いてくれた。私は次のカウンセリングの時きっと獅乃ちゃんが邪魔をしてくるのを予想していた。たとえして来なくともこのことを学校へ訴えることができるのでこの作戦を実行した。案の定私が想定していた通りになった。

 「早く生徒指導室へ行ってきなさい」先生がそういい獅乃ちゃんは抗っても無駄だと察したのか潔く生徒指導室へ向かった。


 その後私は無事にカウンセリングを終え帰宅しようとした時、綺羅ちゃんと出会った。

 「ありがとう綺羅ちゃん!!また助けてもらっちゃって」

 「全然いいよ!助けになれてよかったよ!また何かあったらいつでも頼ってね!」と綺羅ちゃんはいいその場を去った。

 獅乃ちゃんはその後犯人だったことが学年中に広まり転校した。そして次のカウンセリングの時教室には妃奈ちゃんがいた。

 「ごめんなさい!!いじめの犯人が優陽だと勝手に決めつけてたくさん酷いことを言って許してもらえるとは思ってない。でもほんとに反省してます。だから本当にごめんなさい!!」妃奈ちゃんは深々と頭を下げて謝った。私はそれを見て

 「うん、いいよ。だから頭あげて。私もあの時何も言えずにいて誤解を招くようなことしてごめんなさい」と言った。その後私と妃奈ちゃんは仲良くなり時々プライベートでも遊ぶほどの仲になった。私はまた改めて思った。


 ・・・みんなが仲良くなればいいのに・・・

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