3つ目の願い 前編
私は高校に入ってから少し経った時にいじめにあった。それまではいじめられたことなどなかった。周りにいじめられている人もいなかった。だからいじめ問題が多発していることを学校の先生が話している時、私には無縁のことだと他人事のように聞き流していた。高校に入ってすぐの時、近くの席の子とすぐ仲良くなり平凡な高校生活を送っていく予定だった。しかし、私の人生は突然一変した。
私はいつものように制服に着替えて行ってきますを言い学校へと向かった。その教室がいつもよりも異様に騒がしかった。中に入った瞬間その理由がわかった。妃奈ちゃんの机に悪口が書かれていた。昨日の帰りまではなかったはずの文字がたくさん書いてあった。その時私は誰がこんなことを、と動揺しながらも妃奈ちゃんが可哀想だなと思っていた。そして担任の先生がやってきて皆席に座り状況を整理した。いきなりのことで全員が困惑していた。妃奈ちゃんはクラスの中でもリーダー的な存在になりつつあった。そんな子が机の上に悪口が書かれてあったのだ。妃奈ちゃんを慕っていた子は当然激怒。教室は少し荒れていた。私は周りの子たちが荒れているのをただひたすら見ていた。
朝のホームルームが終わった後クラスでは誰がこんなことをしたのかと犯人探しが始まった。すると私からしたらありもしない話が飛び交った。
・・・あいつが書いたんじゃね・・・たまに妃奈ちゃんのことジロジロ見てたしね・・・妃奈ちゃんの話前から全然聞いてなさそうだったし・・・
ありもしない噂が広まった。私は否定しようとした。でもクラスの半数以上の人が私が犯人なんじゃないかと既に疑いが広がっていた。仲良くなった友達もあまり自分からクラスの子に意見を言う人ではなかったため何も言えずにただ下を向いていた。否定したら庇ったことによって共犯者の疑いがかかると考えたのだろう。今思えば正しい判断だと思うけど、当時の私は焦っていたこともあり、
・・・何か言ってよ!!・・・
と、少し怒っている自分がいた。私は疑いをかけられたのにも理由があった。
昨日教室を一番最後に出たのは私だったのだ。たったそれだけだが今の状況では大きすぎる情報だった。私はその時教室でギリギリまで勉強しており気がついたら一番最後になっていた。そして、私が言い返せなかった理由は妃奈ちゃんの机を帰る前に見ていなかったため、今日の朝に起こったことなのか昨日のうちに起こったことなのかわからなかったからだ。そしてそのあとは瞬く間にその出来事が学年中に広まった。私は誰から見ても妃奈ちゃんの悪口を書いた人という目で見られ学校に行けなくなった。そして今になっても悪口を書いた人物は見つかっていない。
今思えば、その事件が起こる前にもっとたくさんのクラスの子と仲良くなれば疑いもかけられることもなかったのかなと思った。しかしそんなことよりももっと強く思ったことがあった。
・・・みんなが仲良くなること・・・
みんながみんな仲良くなればいじめも起こらない学校生活も楽しく過ごせる一石二鳥になるのではないかと思った。でも、人は十人十色性格が合わない人もいる。だけど自分が嫌いな人に態度を変えてまで話す必要があるのかと思っている部分もある。私には嫌いな相手に対して態度を変える意味がよくわからなかった。表面上だけでも仲良くすればいいのではないのかと・・・。しかし人間はそう上手く作られていないのだろう。どう頑張っても仲良くなれない人もいる。だから私は思う。
「みんな仲良くなればいいのに」
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