2つ目の願い
綺羅ちゃんに相談してから数週間が経った。綺羅ちゃんに相談した後学校のカウンセリングにも再び通い始めた。今日も私はいつものようにカウンセリングを終え教室を出て廊下を歩いている時だった。前の方から誰かが歩いてくるのがわかった。でも私は、綺羅ちゃん以外学校の人とあまり仲の良い人がいなかったため、またいじめの件もあったため歩いてくる人の顔は見れなかった。しかし、
「あれー、優陽じゃーん」
私は声を聞いた瞬間血の気が全身から引き凍りついた氷像のように固まった。そして「ここで何してるのー?てかまだ学校通ってたんだ。もう学校やめたのかと思ってたわ。影薄すぎて気づかなかったわーごめんねー。でいつ学校辞めんの」前から歩いてきた人は私をいじめた張本人根羽妃奈(ねはねひな)だった。私は妃奈ちゃんにそう言われた後居ても立ってもいられずその場を走り去った。妃奈ちゃんはそんな私の姿を見て嘲笑っていた。でも、そんなことは私にはどうでもよかった。一刻も早くその場を立ち去りたかった。そして私は家に帰り部屋に閉じ籠った。
・・・てかまだ学校通ってたんだ、もう学校やめたのかと思ってたわ。影薄すぎて気づかなかったーごめんねー・・・
「綺羅ちゃんごめん・・・やっぱり私綺羅ちゃんの考えよくわからない。でも私がもっと綺羅ちゃんみたいにみたいに明るい性格だったら、誰とでも仲良くなれる性格で運動も勉強もできる人間だったら同じ考えになっていたのかな・・」私は綺羅ちゃんの明るい性格を羨ましがることしかできない自分がすごく惨めに思えてしょうがなかった。いつもなら学校側の配慮で普通に登校している生徒に合わないよう時間をずらして登校するようにと言われている。そして私はなるべく他の生徒が授業中の時に静かにいつもの教室に入りカウンセリングと軽い授業を受け帰る。予定だった。しかし早めに授業が終わったのかもしくは授業中にトイレに行っていたのか帰りの廊下を歩いている時運が悪くばったり会ってしまった。しかも一番会いたくない人に・・・。学校側も他の生徒は授業中の時に帰れるように時間を気にしてくれていた。しかし不慮の事故だったのだろう。私はその日昼ごはんも夜ご飯も食べる気が起きなかったためその日は何も食べなかった。ただひたすら妃奈ちゃんの言葉が頭をよぎっていた。
そのことが起きてから私はまたしばらくカウンセリングを休んでいた。その時綺羅ちゃんから電話がかかってきた。カウンセリングにも行けていないことを先生から知り、心配してくれたのだろう。「次の土曜日、またあの公園で話そう」と言ってくれた。私は少し迷ったが遊びに行くことを決意した。
「あ、優陽ちゃんこっちこっち!」綺羅ちゃんは風当たりのいい椅子に座って待っていてくれた。
「どうしたの。最近またカウンセリングにも行けてないみたいだし」前話した時は昔話で盛り上がっていたが今日はすごく心配そうな顔で私のことを見ていた。私は思わず泣き出してしまった。「どうしたの!?学校で何かあった?話聞くから落ち着こ」綺羅ちゃんは優しい声でそう言ってくれた。そして、私は落ち着いた時に口を開いた。
「実はカウンセリングを受ける前に根羽妃奈ちゃんって子にいじめられてたの。それで学校に行けなくなって、学校の先生にカウンセリングには参加して欲しいって言われて学校に行ってた。基本は他の生徒と会わないように配慮されてたんだけど、前カウンセリングが終わって廊下を歩いていたら妃奈ちゃんとばったり会っちゃって、いつ学校辞めるのって冷たい声で言われて私居ても立ってもいられなくてその場を走って逃げた。それで私また学校行ったら妃奈ちゃんに会ってしまうんじゃないかって心配になって行けなくなった」
私は今まで会ったことを綺羅ちゃんに話した。綺羅ちゃんは何も言わずに聞いてくれた。そして少しの沈黙があった後綺羅ちゃんが口を開いた。
「そんなことがあったんだね。ごめんねそんなことがあったなんて全然気付かなくて、でも話してくれてありがとう。これからわ根羽妃奈ちゃんのことちょっと気にしておくね。何かあったらすぐ言ってね。必ず助けに行くから」綺羅ちゃんはすごく真剣な表情で言ってくれた。私はその真剣な表情を見て、うん!と大きく頷いた。その後私と綺羅ちゃんは他愛のない話で盛り上がりお互いの家に帰った。
「綺羅ちゃんは本当に面白いなぁ。私もあんな明るい性格だったらもっとみんなと仲良くなれるのかな。明るい性格になりたいなぁ」私はいじめられていた時からずっと思っていたことだが、改めて思った。
・・・明るい性格になりたい・・
その後、綺羅ちゃんに相談したおかげで少し気が楽になりカウンセリングに少しずつだが行くようになった。
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