1つ目の願い
お母さんからブレスレットをもらってから一週間が経った。私のたった一つの願いって何だろうとずっと考えていた。でもただ一つブレスレットをもらった時からこんな願いが叶ったらいいなとずっと思っていたことがある。
・・・私をいじめてきた人たちがみんないなくなったらいいな・・・
私はブレスレットのことで頭がいっぱいだったため少し学校のカウンセリングを休んでいた。私には幼馴染の明空綺羅(みょうぞらきら)ちゃんがいる。その子に相談してみることにした。
「綺羅ちゃん久しぶり」
「優陽ちゃん久しぶりだね!元気にしてた?最近全然カウンセリングにも来てないって学校の先生も言ってたから心配したよ。でも元気そうでよかったー」
綺羅ちゃんは明るくて運動神経抜群、さらに成績を優秀なため学校のみんなかあの人気者だ。だから不登校の私と絡んでいるのをみると他の生徒は『何であいつと一緒にいるの・・不登校の人じゃん・・』と陰口が絶えない。
「綺羅ちゃんちょっといいかな、相談したいことがあるんだけど・・・」
「相談事!いいよいいよ!私でよければ何でも聞くよ!」綺羅ちゃんはすごく笑顔で返事をした。
人気があるのは嫌だったため人気のない近くの公園に移動した。
「こうやって二人きりで話すのは何年ぶりだろうねー、中学校・・いや、小学校以来かな」
「綺羅ちゃんはクラスの人気者だから、友達と遊んだり勉強も両立したりで忙しいでしょ」
私たちは小学校の頃のこの公園によく二人で遊びに来ていた時のことを笑いながらいっぱい語り合った。そして、話に区切りがついたところで本題に入ろうとしていた。
「ところで相談事って何?」
「あ、そうそう。もし、綺羅ちゃんだったら何でも願いが一つ叶うとしたら何をお願いする?」
「何それ、何かあった?」綺羅ちゃんは面白おかしく言い返した。しかし、私の真剣な表情を見て軽い話では無いのかとと察したのか真剣な顔になった。そしてこう答えた。
「そうだねー、何か一つだけ願いを叶えるとしたら、みんなが幸せに生きられるようにって願いたいかな。優陽ちゃんみたいにきっと学校でいじめられて生きづらくなってしまった人も沢山いると思う。きっとその子たちが少なくとも何でも叶うブレスレットがあったら何願う?って聞かれた時復讐に使いたいって考える人もいると思う。でも私はそんな風に使うんじゃなくて自分と自分の友達が今よりも少しでも幸せに過ごせる環境になったらいいなって思うんだ」綺羅ちゃんは真剣な表情で語った後、私の方を向いてニコッと笑ってくれた。その笑顔は復讐のために使おうと思っていた私には眩しすぎるくらいの笑顔だった。そして綺羅ちゃんが意見を語った後私は少しの間言葉が出なかった。
あの話をしてから少し笑い話や最近あった面白い話などをし私たちはお互いの家に帰った。
「やっぱり綺羅ちゃんはすごいなぁ」私はいつの間にか涙を流していた。きっと復讐のためにブレスレットを使おうと考えていた自分が愚かに感じたのだろう。でも、でもその反面勇気を出して綺羅ちゃんに相談してよかったなと思っている自分もいた。
しかし、ブレスレットをもらった時からお母さんとは以前よりあまり会話をしていない。
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