第7話
再び目を覚ますと、もう既に辺りは真っ暗だった。
「ふわぁ...良く寝たなぁ...」
ギュルルルッ!
お腹の音が盛大に鳴った。
シンシアの話だと、私は昨日の昼間に倒れたらしい。そこから今の今までなにも口にしてないんだから腹が減って当然だわな。
私は卓上にある呼び鈴を鳴らす。なにかあったら鳴らすようにとシンシアから言われていた。
すると秒でシンシアが飛んで来た。早いな! どこに控えてたんだ!?
「お嬢様、お目覚めですか?」
「えぇ、シンシア。お腹が減ったわ。なにか食べ物を持って来て貰えるかしら? あぁそれとも、私が食堂に行った方が早いかしら?」
「すぐにご用意致します。お嬢様はどうかそのままで」
そう言ってシンシアは素早く部屋を出て行ったと思ったら、間も無くカートを押しながら戻って来た。
「お待たせしました」
カートの上に載っているのは、さすがは公爵家と言わんばかりの豪華なメニューだった。
「ありがとう♪ 頂きま~す♪」
大変美味しく頂きました♪
◇◇◇
食後のお茶を飲んでいると、
「お嬢様、そろそろ旦那様がこちらにおいでになると思います」
「あ、そうなの...」
「はい、奥様のご容態も大分良くなって参りましたので」
ハァ...どんな顔して会えばいいのか...まだ心の準備は整ってないけど、いつまでも避けられるはずもないし、ここは腹を括るしかないか...
するとノックもせずいきなり「バァーンッ!」という音を立ててドアが開かれた。
「あぁ、可愛いリーチェ! 僕の天使! お顔を良く見せておくれ! 心配したんだよ! 元気そうで良かった!」
誰だこのイケメンは!? 話の流れからするとこれがベアトリーチェの父ちゃんってことになるんだろうけど...
若いな! ベアトリーチェの父ちゃんってことは少なく見積もっても30代のはずだろ!? どう見ても20代やんけ!
真っ赤な髪はベアトリーチェにそっくりだ。ベアトリーチェの父ちゃんなのは間違いないんだろうけど、こんなイケメン前世で見た事ないぞ! しかも私の好みドストライクなんですけど!
そんなイケメンにいきなり抱き締められてキスの嵐を受けてみ? 前世、20歳そこそこで他界したらしい私にとっちゃ夢のような時間の訳よ!
間違いない! 今の私の顔は茹で蛸みたいに真っ赤っかになってるはず!
「あ、あの...とうちゃ...お、お父しゃま...」
危ねぇ危ねぇ! テンパって父ちゃんって呼ぶ所だったよ!
「なんだいリーチェ? ん~♪ チュッチュッ♪」
そのキスを止めれ! 私の顔はキスの嵐の真っ只中だった。
ヤバい! 悶え死ぬる~!
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