第3話 修行と言ったら筋トレ?
俺の魔法学園への入学は一年後らしく、それまで特に暇で何もすることがない。
暇すぎる日常に少しの刺激が欲しくなった俺は、今まで入るのが怖かったため、入ったことのなかった部屋に入ることにした。
そこはドアを開けるとすぐ階段になっていて、どこまでも続いていそうなほど暗い空間になっている。
めちゃくちゃ怖い。ほんとに無理かも。
それでも、暇すぎて焦らされ続けてきた俺の好奇心は止められない。
俺はドアを開け足を踏み入れた。
ギシギシと音を立てている階段を歯を食いしばりながら降りていく。
俺はやっとの思いで階段を降りきった。
階段を降りきった先には暗闇に続く廊下があった。
こんなの聞いてない。
でも、まだ良かったのは降りきったと同時に壁に掛けてあるロウソクに灯がともったことだ。
ある程度さっきの暗い闇よりはマシだと思い込ませてみる...いや、無理っぽい。
この地下廊下には、多分長い間誰も入らなったせいで、そこらじゅうに蜘蛛の巣が張っていて、これがさらに俺の恐怖心を煽ってくる。
俺は猛ダッシュで廊下を渡り切り、いかにも『昔、倉庫として使われていました。』みたいなドアを無理やり開けた。
俺がドアを開け切ろうとした瞬間、ドアが外れ、思い切り部屋に突っ込んでしまった。
怪我は......無い。ラッキー。ただ、この部屋なんも無いな。
その部屋には机と、その上に置かれた本以外何も無かった。
俺は少しがっかりしながら、本を開いてみた。
俺にとって、その本の内容はざっと把握するだけで、何日もかかってしまいそうなくらいの物だったため、自室に持ち帰ってから読むことにしようとした。
だが、この部屋からの持ち出しはできないことが分かった。
なぜなら、持ち出そうとすると本だけが机にテレポートされるようになっていたからだ。
こうなったら仕方がないため、俺は大体一か月くらいの間、朝起きて倉庫、昼飯食べて倉庫、寝る前に倉庫、といった感じで倉庫に通い続けた。
二、三日も地下室に通い続けると俺の中の恐怖心はこれっぽっちもなくなり、好奇心だけが深まっていった。
しかし、六歳が分厚い本のよく分からない単語を読んで理解できるのはほんの一部しかなかったため、ざっくりとしか内容を知ることができなかった。
ちなみにまとめてみるとこうなる。
基本的に、魔法というものは魔力と深い関係があるという。
最も分かりやすい関係でいえば、個人の保有する魔力量である。
この世界では保有魔力量は親から遺伝するという説が広まっている。
なぜなら、その説以外の説を唱えると、魔力量の多い貴族から反感を買ってしまうためだそうで、何百年もの間に他の説を出すことすらタブーになってしまっているらしいのだ。
本の字の乱雑さから、当時どれだけこれを書くことが恐ろしかったのかが分かる。
それか、字が汚いだけ。それだけはやめてほしい。
それよりも、この本に書かれていたことの中で俺が一つ気になることと言えば、『魔力量は親から遺伝するという"説"が広まっている。」というところだ。
説ということはもしかしたら遺伝以外でも魔力量を増やしたりできるということなのだろうか。
んー...修行?修行すればいい?
修行以外に何か魔力量が増えそうなことってあるか?多分...無い。俺が知らないだけだと思うが、今できる魔力量の上昇に効果がありそうな事と言ったら、それくらいしかないと思う。
そう考えた俺は、まず家での修行を始めてみた。
とりあえず筋トレ。
腹筋を鍛えれば、なんかかっこいいし筋トレは腹筋をすればいいんじゃないかな。
修行は負荷が大切だからね。
腹筋って一番負荷かかりそうじゃん?
それから何日もして、俺は体力トレーニングもした方がいいかと思い、近くの森へのランニング。からの、ちょっとした魔物退治をしてみる。
魔物と言っても、そこらへんに居るスライムに向けて魔法をぶっ放すだけなので、正直そこまで修行としての効果を得られる気がしていない。
スライムじゃ弱すぎる。
でも、スライムを倒した後に手に入る、スライムジェルの分解は結構楽しい。
俺がスライムジェルを『分解』すると、ちょっとした化粧水になる。
これを肌に塗ると、たちまちスライムのような透明感のある肌、もちもちの肌を手に入れることができる。
自分で言うのもなんだが、町の奥様方に売れるレベルで完成度が高い。
まあスライムを顔に塗りたくってるだけなんだけどね。
母の誕生日に瓶詰めをしてプレゼントしてみたが、効果が絶大だったらしく、とても気に入っていた。
実際、俺が町へとおつかいに行くと、たくさんの人からカワイイと言われるのでそれ目当てで自分にも使っている。
そんな修行が続いたある日、いつも通り森でスライムを分解して遊んでいると、少し離れたところで、魔物の咆哮が聞こえた。
俺はスライム以外の魔物を見るのは初めてだったので、うきうきしながら近づいていったら俺と同じくらいの年の男の子が、体より大きい
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