第32話.士官学校へようこそ。4
初日は簡単な自己紹介と
食堂に向かう。
女性の士官服の列だ。
こんなに一杯、士官服を見るのも久しぶりだが。
肩掛けカバンから食器と鉄のシチュー皿を出し、新鮮な気分で列に並ぶ。
背が頭一つ低いので目立つ。(下士官服です。)
「ちょっと!貴方、ココは士官生徒食堂です。」
早速、金髪縦ロールの上級生が因縁を付けて来た。
「ああそうだね、俺は士官候補生徒だ、だから使う権利がある。」
僕は伍長だ!!
「はあ!」
見回す他の
仕方がない…。
「第三軍団オーウェンドルフ連隊所属。ガリル・イエーガー伍長だ。士官になる為にこの学校に来ている。貴官の官姓名を名乗れ。」
「へ?あ?あの…。」
縦ロールが混乱している。
敬礼を強調する。
「貴官の官姓名を名乗れ。」
押し通す。
答えなければ殺す。
「はい、アラベラ・ビルンバッハ2号生です!」
殺伐としたカウンター前で返礼する金髪縦ロール。
「そうか…。実はこの様な会話は初めてでは無い。君のクラスに通達してくれ。本物の伍長が士官生徒に居るとな。」
なおる。
喰うか食われるか…、殺伐とした軍学校の食堂の先を見る。
前が空いたので王国製の皿を持って進む。(騎兵歩き)
「はい。了解しました。伍長殿。」
なお、昼食はシチュー(ねぎだく)とパンと林檎だった。
謎肉が入っているのが良い。
見渡すが全員士官服だ。(階級なし学校章のみ。)
確かに下士官生徒と見分けが付かないのも面倒だ…。
剣でも下げるか…。
でも物騒だからな(真剣)。
学校では歩兵科指揮官の授業を受ける。
選択式なので下士官学校の授業も受ける。
そうだ、工兵課程だ。
こちらは話が簡単だ。
教室に入室すると階級章が付いているので
適当な季節の挨拶を行い、定位置に向かう。
教室の最後列でこっそりと授業を受ける。
橋梁や家屋の建築の話が在るが…。
どちらかというと土木の話が多い。
メガロニクス課程は二年からやるらしい。
基礎授業は必ず受ける。
コマが被ると仕方がないので士官過程優先だ。
同じような歳の生徒が多いので、お菓子を配給する事で喜んでノートを写させてもらう。(出費が!!)
教室の窓の外ではメガロニクスが数台歩いている…。
メガロニクス課程の士官候補生達だ…。
あ、こけた。
軽い地響きが教室を襲う。
「あっ!くそっ!アレは壊しやがった!!」
「生徒、静かに。」
「「「はい!」」」
静まり返った教室内で講師が本を読み上げる。
「おい、今日の当番手伝ってくれ!!」コソコソ
「いやだよ!」コソコソ
他のメガロニクスが倒れたメガロニクスを起している。
「多分、大仕事だぞ…。あ、腕が取れた。」コソコソ
「マジか…。」コソコソ
「仕事増やすなよ。くそ女共」コソコソ
操縦席から女が出てくる。
茶色のボブカットだ。
「あ…。またアイツだ。」コソコソ
「下手くそが乗るなよ…。」コソコソ
前の生徒達が囁く。
なるほど…、学校内の
「当番とは何か?」コソコソ
生徒のヒソヒソ話に加わる。
「伍長殿…。」コソコソ
「学校のメガロニクスは指揮は三号生徒、作業二号生徒が中心となって修理するのですが…。手が足りない時は初号生徒の当番が動員されます。」コソコソ
「なるほど…。」コソコソ
そりゃ凄い、帝国のメガロニクスに触る事が出来る。
校庭横の作業工房前に移動されたメガロニクスに。
下士官作業服の生徒達が丸太とロープを持って群がっている。
関節接合部が砕けた様子だ。
後で見に行こう。
丸太の足場に吊るされた巨人を見学して…。
暇そうな班長の腕章を付けた(多分三年生)に幾つか質問をして別れた。
伍長階級で一年生なので相手も混乱したが。
下士官候補生は全員一等兵待遇なので現役伍長の命令を無視できない。
厩舎に戻ろうと歩いていると…。
校舎裏で
絶対面倒事だ。
ソコを通らないと厩舎は遠回りだ。
無視して通り過ぎる所だが…。
泣いているご婦人を見たら声を掛けるのが騎兵士官の責務らしい。(談:クルーガー騎兵少尉)
勇気を出して声を掛ける。
「お嬢さんどうされましたか?」
泣きながらシャックリする茶色のボブ。
「何でもないです…。」
何でも無いなら僕の前で泣かないでくれ。
仕方がないので追撃する。
「君は今日の授業でメガロニクスを操縦していた生徒だね?」
巨人の学内での
途中で
「はい…。お恥ずかしながら。」ヒック
「何が在ったのか話してくれ。力に成らないだろうが気持ちが整理出来るはずだ…。」
「実は…。」
言葉は多かったが…。
要約すると機材を壊しすぎて学友からも呆れられているのが悔しい。
そして、今日、”次壊したら退学。”と教官に言われたそうだ…。
聞けば、いきなりメガロニクスに乗って訓練するらしい…。
訓練機の数が少ないので壊すと他の生徒の練習に影響がでる様子だ。
どう考えても…。
前の世界の航空学生と同じ様な仕様だ。
しかし、この学校のカリキュラムは大丈夫なのか?
いきなりヒヨコを載せて”鷹の真似をしろ。”と言うのは無理なのでは無いのか?
王国の巨人は操縦した事がある。
要は自動車学校の教習課程の延長だ。
適正は在るが時間と教練を繰り返せばある一定の練度を保持できる。
無論、コストの問題をクリアできれば良いのだ。
結論は出なかったが話をした事で気持ちを落ち着かせたお嬢さんは気を取り戻した。
印象はメガロニクスは馬に乗るより手間がかかる。
だな…。
(´・ω・`)最近、航空自衛隊を退官された方と知り合いになり与太話を幾つか…。
(#◎皿◎´)ほう、航空だと…。元π?
(´・ω・`)整備のほうでF-1、F-2、F15のエンジンをバーチカル整備(垂直全分解整備)してテストベットで試運転した後機体搭載して機体ランナップ(滑走路でのエンジンテスト)までが仕事だった方。
(#◎皿◎´)ええ…。(どんびき。)
(´・ω・`)その方の話だと、誰がπ特性を持っているか解らないので空自では誰でもπ候補生を望めば積極的に班から送り出していたそうだ。(但しチャンスは1回だけ)
(#◎皿◎´)ふーん。え?航空学生は30人に1人の狭き門だと…。
(´・ω・`)誰でも受けられる…。実際、その方の整備の後輩は酒の席で「俺!パイロット目指します!!」「おう!やれやれ!!(酔っ払い中。)」と言って送り出した一般隊員がまさか…。
ある日別の基地から飛来したF-15から降りたπがハンガーで作業していた整備に駆け寄り。
「○○さん!俺!パイロットに成れました!」と再会して「おおおー出世したな!!(敬礼)」
返礼を受けたそうだ。(あの日、送り出した隊員が航空士官様になって帰ってきた。)
(#◎皿◎´)いい話だー。(そりゃ。狭き門にもなる。)
(´・ω・`)で、エリミネートされた人の話のほうが多いんだが…。聞く?
(#◎皿◎´)…。(つらい)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます