第30話.士官学校へようこそ。2
連隊の関係者に挨拶を済ませ。
身の周りの荷物を行李に収めると軍用郵便で学校に送った。
遂にニューライヒ領へと旅立った。
旅する姿は下士官服だ。
理由は騎兵士官はサーベル下げないと…。
はっきり言って馬車の中で邪魔。
行李に積めて一足先だ。
移動は軍の切符で移動できるので旅費は切り詰め出来る。
乗合馬車だ。
問題は出先の飲食代だ。
軍籍は未だ三軍に在るが学校に通うと俸給は減らされるのだ。
騎兵の本文、移動計画は頭の中に入って居る。
下士官の制服に伍長の階級章を付けている。
第三軍の部隊章もある。
メガロニクス撃破徽章もだ。
移動途中の町ではすれ違う兵が驚いて敬礼する。
仕方が無い、中央軍の部隊章は珍しい、下士官学生服(無地階級)と似ている。
背格好で学生だと判断しているのだろう。
返礼は止まらず騎兵歩きで返礼する。
士官見習の特権だ伍長階級章が効いている。
その為、誰にも呼止められない。
安宿で軍票を切るのにも熟れた。
明日は目的地の学校だ…。
身体を拭いてベッドで寝よう。
行幸袋を枕に飼葉の中で眠るのはもう止めだ。
翌日軽く朝食を取り。
宿でパンとサラミを包んでもらい。
行幸嚢を肩に掛け乗合馬車に乗った。
結構混んでいる。
昼の休憩を挟んで、乗合馬車が学校の門で止まる。
ぞろぞろと降りる…。
僕と同い年か年上の少年が多い…。
馬車のまま校門を潜る車が多い。
歩いて進むと多くの馬車が車止めで止まっている。
荷物を降ろしている様子だ。
別れの敬礼を交わす父娘も…。
下士官略帽を但し、士官学校の看板へ向かう。
「アナタ何をしているの!」
声を掛けられて驚いた。
「ココは下士官候補生の来る場所ではありません!」
士官服を着たおねえさん…。
僕に声を掛けて来たのだ…。
士官学生か准尉だ。
階級章が無いので准尉じゃない。
お互い伍長待遇なので敬礼は必要ない。
「第三軍団オーウェンドルフ連隊所属。ガリル・イエーガー伍長だ。」
しかも軍用の誰何の手順を守って居ない。
直ちに軍籍を答えた。
「は?」
表情からやっと階級章が目に入ったらしい。
「第三軍団オーウェンドルフ連隊所属。ガリル・イエーガー伍長だ。貴官の官姓名を名乗れ。」
歩哨時、返答の無い相手には…。
腰に手を…掌が躍る。
あ、今、帯剣してない。
「あ、はい、メガロニクス候補生、アンナ・リグ2号生です。」
抜刀姿勢で空を切る手に向き直る学生。
お互い直る。
「そうか、ありがとう士官学校の新入生受付はこちらかな?」
にこやかに質問する。
新入生だが。
未だ入学していない軍属だからな!
「はい!」
同時に敬礼、解除する軍籍なし。
「では受付を済まそう。」
狐に摘ままれたままの
見回すと中は学生がちらほら見える。
僕と同い年…。
いや、上だ。
女性が多い。
受付を見つけ、官姓名を名乗ると…。
学校長の部屋に通された。
退役准将の階級を付けたカイゼル髭を生やした…。
騎兵上りではなさそうだ。
入室する時に名乗る。
「第三軍団オーウェンドルフ連隊所属。ガリル・イエーガー伍長ただ今到着しました。」
「ほう、君が…。我がハーヴェスブルグ士官学校へようこそ。戦時騎兵准尉。」
「はっ!ありがとうございます。帝国への義務を果たす為に、この学校に来ました。」
敬礼に返礼で返す学校長。
降ろしたので降ろす。
「ふむ…。やはり騎兵だな。」
敬礼は変らないが騎兵の痕跡が有るのだろう、クルーガー騎兵少尉が特に指導していた点だ。
騎兵少尉の言う”女にモテる敬礼の仕方だ…。”結構どうでもいいが、やらないと叱られるので板に付いてしまった。
「はい?」
「ああ、何でもない、君は候補生の扱いだが、現在我が校では平時に付き候補生学校は開設されていない。」
「はっ!」
「だが、昇進に必要な授業は選択できるので、伍長待遇で現在、我が校唯一の候補生徒となる。」
「はい。」
単位制になるのか…。
授業落さない様にしないと。
「必要な書類や講義はアヤメ会に尋ねなさい。」
「はっ!アヤメ?とはなんでしょうか?」
「ああ、士官学校の生徒互助会の名前だ。売店や喫茶所を運営している。下士官学校はカキツバタ会と言う。」
「なるほど…。」
兵と士官は
下士官学校生徒は士官の内だが未だ兵にも成って居ない。
それなら士官学校生も同じだ、士官の生活に熟れる為の措置だろう。
「当番、居るか?」
机の上の鈴を振る学校長。
「はい。」
背の高い士官服を着た女の人がドアを開ける。
部隊章が学校で二年を示す
「ガリル・イエーガー伍長に学校内を案内してやってくれ。」
「はい、了解しました。こちらにどうぞ伍長。」
背の高いおねえさんの後に続く。
「下士官学校はこちらです。」
行き成り外に出ようとする学生。
「ああ、すまん。アヤメ会?に向いたい。必要書類と部屋を確認したい。あと私物が届いているかも。」
「アヤメ会は士官学校生徒の
背の高いおねえさんは振り向いて…。
眉間に皺を寄せている。
怒るところあるか?
「俺は、士官学校生徒ではないが、候補生徒だ。」
「はい?どう違うのですか?下士官では?」
おい大丈夫か?この学校。
「君は士官学校生徒で軍では伍長待遇だ。」
「はい、その通りです。」
「俺は軍籍が在る伍長で、士官への候補生徒だ。」
「はあ…。それが?」
いや、軍籍が有るのと無いのでは伍長と自称軍人ぐらい違う…。
「戦時昇進したので士官の資質を身に着ける為に士官学校に通う候補生徒だ。」
表情を見るにイマイチ反応が悪い…。
「下士官学校の生徒は伍長に成る為に学校に通っているのに、既に伍長の俺は何処に通えばよろしいのかな?」
素人に笑顔で説明する。
「あ、申し訳ございません。伍長殿。」
既に戦時騎兵准尉で士官の内だ。
「同じ伍長待遇で士官を目指す身だ。殿は要らないよ。」
今、気が付いたが、確かに戦時騎兵准尉では他の
こんな些細な事は教えていないのかもしれない。
兵が考える事で、気を付けるのは少尉に上がるまでだ。
厩の隣だ。
私物も届いている。
寮では無かったが別に気に成らない。
学校側がぼくに配慮したのだろう。
こっちは騎兵だ良く解っている。
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