第2話 薄闇の中

「・・・君?」

君の問いを聞きながら、僕の意識は薄れていきました。


「あれぇ・・・?」

フェイドアウトした君の呟きを耳に残して。


僕の意識は戻ったのでした。


目の前には。

白と黒の鍵盤の列。


ピアノの上にある額縁には。

君と僕の写真。


あの頃の。

幼い二人の笑顔。


何年も思い続けた。

僕の夢の世界。


そう。

そう、なのです。


私の大好きだった。

君が目の前にいるなんて。


あり得ないことなのだから。


その時。

あのメロディーが頭の中で鳴った。


僕が弾いた。

アルペジオ。


君が大好きと言ってくれた曲なのでした。

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